厚生労働省が公表した2022年の職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)によると、職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数は、2022年に827人で、前年比47.4%の大幅増となった。うち死亡者数は30人(前年20人)。熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりするなどして、発症する障害の総称。
過去5年間(2018~2022年)の業種別の熱中症の死傷者数をみると、「建設業」(916人、うち死亡者数52人)、「製造業」(836人、同19人)、「運送業」(605人、同8人)で多く発生。業種別死傷者数の割合は、「建設業」21%、「製造業」19%、「運送業」14%などが高い。2022年の死亡災害については、「建設業」において14件と最も多く発生、過去5年間においても死亡災害の最多業種となっている。
2018年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、全体の8割以上が7月及び8月に発生。また、6月から9月における月別の死傷者数に占める死亡者数の割合は6月、7月、9月の順に高かった。 2022年の死亡災害は6月から9月に発生し、6月は10名、7月は9名、8月は10名、9月は1名が死亡しており、年内の死亡者数に占める月別死亡者数の割合をみると 2021年に比べ6月の発生割合が高かった。死傷災害にも同様の傾向がみられた。
2018年以降の時間帯別の死傷者数をみると、「15時台」(571人)が最も多く、次いで「14時台」(558人)、「11時台」(497人)が多くなっていた。なお、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見された。また、2018 年以降5年間の年齢別の熱中症の死傷者数をみると、「65歳以上」が627人(構成比14.4%)で最も多いなど、全体の約5割が 50 歳以上となっていた。
死亡災害全体の概要は、総数は30件で、被災者はすべて男性だった。暑さ指数(WBGT)の把握を確認できなかった事例が25件あった。暑さ指数とは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。また、熱中症予防のための労働衛生教育の実施を確認できなかった事例が26件、発症時・緊急時の措置の確認・周知していたことを確認できなかった事例が28件それぞれあった。
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