2022年度の不正発覚による倒産、過去最多の300件

 帝国データバンクが発表した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」結果によると、2022年度のコンプライアンス違反倒産は300件と前年度から96件(147.1%)増加し、2年連続で前年度を上回った。また、これまで最多だった2015年度の289件を上回り、2005年4月の集計開始以来、最も多くなった。これまでピークだった 2015年度以降、コンプラ違反倒産は、緩やかな減少傾向を示していた。

 特に2020年は、コロナ対策の給付金やゼロゼロ融資など各種支援策が企業に幅広く行き渡り、一時的に倒産が抑制されたことで、コンプラ違反による企業の倒産が表面化しづらくなっていたとみられる。しかし、新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、全体の倒産件数が上向いてきているなかで、コンプラ違反が明らかになり、信用を失うケースが散見されるようになった。

 2022年度に発生したコンプラ違反倒産の300件を業種別にみると、「サービス業」が88件(構成比29.3%)で最多となり、全体の約3割を占めた。次いで、「建設業」が59件(同19.7%)、「運輸・通信業」が54件(同18.0%)と続いた。業種細分類別にみると、「サービス業」では「老人福祉業」が35件にのぼった。特に、(株)ステップぱーとなー(東京都、22年8月破産)グループの連鎖倒産が30件を超え、全体を押し上げた。

 違反類型別にみると、「資金使途不正」が69件(構成比23.0%)で最も多かった。次いで「粉飾」が62件(同20.7%)と続いた。コロナ禍以前に増加傾向を示していた「粉飾」は、20年度以降、ゼロゼロ融資等の資金繰り支援の効果もあり件数は減少に転じていたが、ここにきて再び増加の兆しをみせた。借入金の返済が厳しくなり、金融機関に対して追加支援を申し入れた際に不適切な会計処理が明らかになるケースが多くみられた。

 また、コロナ禍で雇用調整助成金など各種助成金などの「不正受給」による倒産が前年から倍増した。「粉飾」を業種別にみると、「卸売業」の構成比が33.9%と他の業種と比較して高かった。なかでも架空取引や融通手形を使用していたケースが目立った。「業法違反」では、「運輸・通信業」が構成比60.7%と突出していた。長時間労働など違法な営業活動が発覚して、行政処分を受けた企業が多数発生した。 

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230410.pdf