東京商工リサーチがこのほど発表した2022年「倒産企業の財務データ分析調査」結果によると、2022年(1~12月)に倒産した企業のうち、直近決算が判明した企業の6割(構成比62.9%)が倒産直前で最終赤字に陥り、また、約7割(同67.3%)は債務超過だったことが分かった。慢性的な赤字で財務悪化が進み、倒産した企業全体の営業利益率は3期連続でマイナス(赤字)だった。
2022年の倒産企業(383社)の赤字企業率は、直近決算(最新期)で62.9%(前期55.8%)に及んだ。前々期から16.5ポイント悪化した。一方、生存企業(38万1045社)は、最新期の赤字率は25.4%で、前期25.2%、前々期22.9%とほぼ横ばいだった。倒産企業は、業績不振に加え、コロナ禍の急激な業況悪化が追い打ちをかけており、生存企業との差が際立った。
営業利益率は、最新期で倒産企業が▲2.5%、生存企業は5.3%で明暗を分けた。倒産企業は、前々期▲0.6%→前期▲2.8%→最新期▲2.5%と、マイナスが3期続いた。倒産企業で、営業黒字は前々期206社(構成比53.7%)→前期162社(同42.3%)→最新期113社(同29.5%)と減少の一途をたどった。一方、生存企業は同70.6%→62.9%→62.4%で、コロナ禍で利益環境は厳しさを増したが、6割以上の企業は黒字を維持した。
有利子負債構成比率【有利子負債(長・短期借入金、社債など)÷総資本】は、企業の借入金への依存度を示す。倒産企業は、前々期63.5%→前期65.5%→最新期69.3%と上昇をたどった。一方、生存企業は同28.2%→29.5%→29.8%と、ほぼ横ばいで推移。前々期との比較は、倒産企業は5.8ポイント上昇に対して、生存企業は1.6ポイント上昇にとどまる。ゼロ・ゼロ融資などの支援策で、経営不振の企業ほど借入依存度が高まったようだ。
倒産企業のうち、最新期の債務超過は258社で約7割(構成比67.3%)に達した。自己資本比率が10%未満(債務超過を除く)は60社(同15.6%)で、債務超過と合わせると8割超(同83.0%)を占めた。疲弊した財務状態で倒産に追い込まれた状況が浮かび上がる。一方、生存企業は、自己資本比率30%以上が21万9874社(構成比57.7%)にのぼる。ただ、債務超過の企業も6万1561社(同16.1%)あり、支援体制の強化が急がれる。
売上高人件費比率【人件費÷売上高】について、2022年の倒産企業とコロナ禍前の2019年の倒産企業を比較すると、2019年は前々期14.6%→前期14.1%→最新期14.5%とほぼ横ばい。一方、2022年は同22.5%→19.3%→23.1%と、5~9ポイント上昇。また、3期の平均は、2019年の倒産企業が14.4%に対し、2022年の倒産企業は21.6%で、コロナ禍で急激に売上が減少し、人件費の負担が重みを増した状況を反映している。
同調査結果は