1~3月期景況、コロナ後も回復なき「足踏み経済」

 中小企業家同友会全国協議会が会員企業を対象に3月前半に実施した「2023年1~3月期景況調査」結果速報(有効回答数754社)によると、業況判断DI(「好転」-「悪化」割合)は8→6、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」-「悪い」割合)は8→2、売上高DI(「増加」-「減少」割合)は15→14、経常利益DI(「増加」-「減少」割合)は▲2→▲3と、主要指標は悪化したが、売上高DIと経常利益DIはほぼ横ばいだった。

 業況判断DIを業種別にみると、「建設業」が▲2→0、「製造業」が12→1、「流通・商業」が9→5、「サービス業」が10→18と、製造業と流通・商業が悪化の原因となった。地域経済圏別では、「北海道・東北」が▲1→4、「関東」が12→5、「北陸・中部」が7→▲4、「近畿」が17→6、「中国・四国」が7→21、「九州・沖縄」が8→6と、まだら模様となっている。

 次期(2023年4~6月期)は、業況判断DIが6→2、業況水準DIが2→▲2、売上高DIが14→10、経常利益DIが▲3→▲1と、経常利益DI以外は悪化を予測。業種別の次期業況判断DIでは、「建設業」が0→▲11、「製造業」が1→▲1、「流通・商業」が5→3、「サービス業」が18→17と、建設業以外は小幅な悪化を予測。また、採算面では、仕入単価DI(「上昇」-「下降」割合)が84→80とピークを過ぎたものの高止まり。

 売上・客単価DI(「上昇」-「下降」割合)も48→46となり、仕入単価DI-売上・客単価DIは36→34と横ばい。仕入単価DIは、金属製品製造業が94→93だが、次期見通しが60になっている。機械器具製造業も同様で、10~30と仕入単価が下落する見通しにある。所定外労働時間DI(「増加」-「減少」割合)は2→▲5と減少。人手の過不足感DI(「過剰」-「不足」割合)は▲41→▲40と高水準となった。

 日銀短観は大企業製造業が6ポイント悪化しプラス1となり、5四半期連続で悪化した。大企業非製造業は感染症対策の緩和が追い風で、プラス20と前回から1ポイント改善した。長引く原材料コスト高や海外経済の減速懸念が景況感を下押しした。世界的な金融不安も先行きに影を落とす。今回の短観にはその辺の事情は反映されておらず、不透明感は強まっている。今後の動向を注視する必要がある。

 同調査結果は

https://policy.doyu.jp/2022site/wp-content/uploads/2023/04/dor_145soku-2.pdf