東京商工リサーチが発表した2022年度の全国「新型コロナウイルス」関連破たん状況によると、同年度の「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円未満を含む)は2757件に達し、前年度から42.2%増に急増した。2020年2月25日、「コロナ関連破たん」第1号の判明から2023年3月末まで、全国で累計5951件が判明。アフターコロナの時期に差し掛かってもコロナ破たんは増勢を強め、収束が見通せない。
これまでの都道府県別の累計は、「東京都」が1217件で全体の2割強(構成比20.4%)を占め、突出。以下、「大阪府」597件、「福岡県」298件、「神奈川県」262件と続く。都道府県別に2021年度(前年度)との比較をみると、最も増加したのが「鹿児島県」の287.5%増(8→31件)と約4倍に大幅に増えた。次いで、「長崎県」の208.3%増(12→37件)、「大分県」の188.8%増(9→26件)と、九州3県の増加が目立った。
2022年度の産業別では、最多が「サービス業他」の1087件(前年度比39.7%増)。前年度比較では、「農・林・漁・鉱業」が222.2%増(9→29件)と前年度から3倍超に急増。外食産業の低迷による需要減や飼料高騰などが響いた。また、燃料高騰や人手不足など厳しい環境が続く「運輸業」も49.4%増(87→130件)と増加した。さらに細分化した業種別では、「飲食業」が425件にのぼり、最多だった。
ただ飲食業は、増加率では前年度比31.1%増と全体(42.2%増)を下回り、増勢は弱まった。一方、増加が目立つのは介護事業を含む「医療,福祉事業」が93.9%増で、利用控えや物価高などコスト面の負担が重かった。また、飲食業の不振から「飲食料品製造販売」が52.4%増で、販売不振に加えて価格転嫁の遅れなどから事業継続が難しくなるケースが目立っている。
2022年度の「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2613件の形態別では、「破産」が2405件(構成比92.0%)で最多。次いで「取引停止処分」が70件(同2.67%)、「特別清算」が68件(同2.60%)、「民事再生法」が65件(同2.4%)、「会社更生法」が3件、「内整理」が2件だった。前年度との比較では、「破産」が40.0%増と、大幅に増加した一方で、民事再生法は1.5%増とほぼ同数だった。
「新型コロナ」関連倒産の9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は3%に満たない。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半となっており、先行きの見通しが立たず、再建型の選択が難しい状況が浮き彫りとなっている。
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