帝国データバンクが発表した「食品主要195社の価格改定動向調査~23年度家計負担額推計」によると、断続的な食品の「値上げ」が続くなか、家計への負担は前年に引き続き重みを増しそうだ。国内の主要な食品や飲料メーカー195社が4月以降に値上げする食品約9000品目の値上げデータと、総務省「家計調査」における二人以上世帯の2021年度消費支出データを基に、生鮮食品を除く食品値上げによる家計支出額の影響について試算した。
その結果、2023年度における1世帯あたり家計への食費負担額は、節約など値上げへの対策をしない場合、前年の22年度月平均から1ヵ月当たり約2140円、年間で約2.6万円増加することが分かった。年間の消費支出額(21年度:平均330万円)のうち約1%が、食品値上げによって圧迫される可能性がある。値上げラッシュが本格化した2年前と比較すると1ヵ月当たり約3110 円、年間で約3.7万円増加する試算となる。
家計負担額を食品分野別にみると、前年度比で最も負担額が増加したのは「加工食品」で月723円の負担増だった。加工食品では3月末時点で年平均約15%の値上げ幅となるなか、ソーセージなど比較的使用頻度の高い食品分野での値上げが響いた。「酒類・飲料」では月498円の負担増となり、1世帯当たり350ミリリットル缶チューハイ(約120円)4本分相当の負担が発生する可能性がある。
酒類・飲料では、ウィスキーやワイン、缶コーヒーなど比較的嗜好性の高い品目で値上げが多く、昨年10月の缶ビール類の一斉値上げに比べると影響度は小さくなった。「乳製品」(月300円増)は、購入頻度の高いパック牛乳などが値上げの対象となることで、全食品分野のうち3番目に負担が重たい試算だった。今後も、飼料価格高騰などを背景に生乳取引価格がさらに引き上げられ、負担額は年度末にかけてさらに増加する可能性がある。
チョコレートなどの「菓子」(252 円増)、マヨネーズやドレッシングといった「調味料」(145円増)も増加した。
同調査結果は