日本政策金融公庫が発表した「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」結果(有効回答数4465社)によると、中小企業の事業承継の見通しは、後継者が決まっており後継者本人も承諾している「決定企業」は10.5%にとどまり、後継者が決まっていない「未定企業」が20.0%、「廃業予定企業」が57.4%、「時期尚早企業」が12.0%となった。「廃業予定企業」の割合は、2019年調査の52.6%と比べて4.8ポイント上昇している。
従業者規模別にみると、「決定企業」の割合は「1~4人」の5.6%が、「5~9人」では16.0%に高まるものの、10人以上のいずれのカテゴリーでも20%台にとどまっている。また、「未定企業」は「20~49人」で48.1%と最も高い割合となった。一方、「廃業予定企業」は「1~4人」では71.8%を占めているものの、「5~9人」では42.8%、「10~19人」では28.5%と、規模が大きくなるほど割合が低下する傾向にある。
「廃業予定企業」は、従業者数「1~4人」の企業が81.8%を占めており、ほかの類型と比べて規模が小さい傾向にある。主な事業所の形態をみると、「廃業予定企業」は「自宅と兼用で生活空間と分かれていない」が39.3%、「自宅と兼用だが生活空間と分かれている」が25.7%、「同じ場所で自宅と別の建物である」が6.1%と、ほかの類型と比べて自宅との近接性が高くなっている。
「決定企業」の後継者候補をみると、「長男」が33.7%、「役員・従業員(親族以外)」が19.1%、「その他の親族」が10.7%、「社外の人(親族以外)」が10.4%など。2019年調査と比べると、親族以外を後継者候補とする企業が増えている。事業承継の際に問題になりそうなこと(複数回答)は、「後継者の経営能力」が28.0%、「相続税・贈与税の問題」が22.9%、「後継者による株式・事業用資産の買い取り」が22.5%と、多岐にわたっている。
「廃業予定企業」の廃業理由(複数回答)は、「そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていない」が45.2%と最も高い割合。さらに詳しくみると、「経営者個人の感性・個性が欠かせない事業だから」(24.4%)、「自分の趣味で始めた事業だから」(23.8%)、「経営者個人の人脈が欠かせない事業だから」(16.6%)など、経営者の属人的な資源や能力に関連する理由を回答する企業の割合が高い。
同調査結果は
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings230323_1.pdf