中小の正社員「採用企業」は32.8%で4年ぶり増加

 大阪シティ信用金庫が発表した「中小企業における2023年の正社員採用予定調査」結果によると、今年の正社員の採用(実績及び予定)は、全体でみると、「採用する」と答えた企業は昨年比7.6ポイント増の32.8%となった。同割合の増加は2019年以来4年ぶりとなる。また、「採用しない」とした企業は38.2%(昨年比2.8 ポイント増)、「未定」は29.0%(同▲10.4 ポイント減)となっている。

 新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、経済の回復に伴う効果が中小企業の採用面にも及んでいることがうかがえる。業種別でみると、「採用する」企業割合は、「運輸業」が 45.8%で最も高く、「小売業」が17.8%で最も低い。さらに従業者規模別でみると、「採用する」企業割合は規模が大きくなるほど高くなっており、「10人未満」の12.0%に対し、「50 人以上」では85.5%と規模間の差は大きい。

 正社員を採用する主たる理由は、「仕事量が増加し、人手不足になってきたため」と答えた企業が61.8%で最も多い。同割合が6割を超えるのは調査開始以来、初めて。以下、「現事業の業容拡大を図るため」が15.1%、「退職による欠員を補充するため」が14.8%、「新分野進出や自社のレベルアップ等に向け、優秀な人材を確保するため」が8.3%。昨年調査と比べると「人手不足になってきたため」が19.2ポイントと大幅に増加した。

 採用方針について、採用区分では、「新卒者の採用」を主とする企業が25.3%で昨年(29.2%)に比べ3.9ポイント減少した。これに対し、「新卒者以外の経験者の採用」を主とする企業は74.7%で圧倒的に多い。中小企業では即戦力となる経験者採用が主体だが、今回その傾向がさらに強まった。従業者規模別でみると、「新卒採用する」企業割合は規模が大きくなるほど高くなっている。

 「経験者採用をする」と答えた企業(全企業の24.5%)のその理由(複数回答)は、「新卒者の成長を待っている余裕がない」とする企業が58.8%で最も多い。次いで「新卒の応募者が集まらない」企業が44.8%と多く、募集をかけても新卒者が集まらず、新卒採用だけでは補充しきれない難しい状況がうかがえる。以下、「新卒者は定着率が低い」が27.6%、「新卒者を育成する体制を敷けない」が18.6%となった。

 同調査結果は

https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2022/2023-03-08.pdf