帝国データバンクが発表した「日本企業のロシア進出状況調査」結果によると、ロシアでのビジネスから撤退=日本企業の「脱ロシア」の動きが低調ながらも進んできたが、ウクライナ侵攻直前(2022年2月時点)にロシアへの進出が判明していた国内上場企業168社のうち、2月19日までにロシア事業の停止や制限・撤退を新たに発表・公開した企業は、全体の約半数にあたる79社で判明した。
このうち、ロシア事業から事実上の撤退、または撤退計画を明らかにした企業は全体の16%に当たる27社にのぼり、全体の1割超に達した。撤退企業は22年8月時点まで10社に満たなかったものの、今年2月までの半年間で新たに約20社の撤退が判明。大手完成車メーカーや関連企業などを中心に、一時的な事業停止措置から完全撤退、事業・現地子会社の売却といった、恒久的な脱ロシア対応へと移行しつつある。
いずれも、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化にともない、部品の調達難や現地企業・市場の需要縮小などを理由に挙げたケースが多かった。一方で、この間に原材料調達のめどが立ったことで現地生産を一部再開させた企業や、受注残などを理由に現地事業を当面継続する企業も少数ながらみられた。
帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに、各国企業の「ロシア事業撤退」割合を分析したところ、全世界の主要企業約1600社のうち約3割に当たる約500社がロシア事業から撤退した・または撤退を表明していることが分かった。このうち、日本企業における同割合は先進主要7ヵ国中2番目に低い水準で、ロシアでの事業展開が10社以上判明した全世界約30ヵ国の中でも19番目の水準にとどまった。
国別にみると、ノルウェー・フィンランドの北欧2国は撤退割合が60%を超えるほか、英国も半数超が撤退した。ただ、家庭用食品大手のダノン(仏)がロシア事業の9割に相当する乳製品・植物由来食品の両事業から撤退する意向を明らかにした一方、同じ家庭用品大手の米英企業ではロシア事業について明確な撤退を示していないなど、欧米諸国のグローバル企業でもロシア事業に対する姿勢の違いが鮮明となっている。
同調査結果は