東京商工リサーチがこのほど発表した「2022年全国社長の年齢調査」結果によると、2022年の社長の平均年齢は、調査を開始した2009年以降で最高の63.02歳(前年62.77歳)だったことが明らかになった。高齢化に伴い、60代以上の社長の構成比が初めて60%を超えた。高齢の社長ほど業績悪化が進む傾向は変わらず、後継者不在や事業承継問題は大きな経営リスクとして浮上している。
2022年に後継者不在による「後継者難」倒産は422件(前年比10.7%増)で、2013年以降では初めて400件台に乗せた。また、直近決算で社長が70代以上の企業の赤字率は25.8%、連続赤字率は13.3%で、年齢が高齢化するほど業績が悪化する傾向にある。高齢の社長は、過去の成功体験に捉われやすく、設備投資や経営改善に消極的な傾向がある。このため、事業承継や後継者育成が遅れ、企業としての存続に支障を来すケースもある。
2022年の社長の年齢分布は、70代以上が33.3%で、2019年から4年連続で30%台。50代も24.6%と上昇が続く。社長の年代別の企業業績は、直近決算で「増収」は30代以下が59.3%で最も高い一方、70代以上は42.9%と最も低く、社長が高齢化するほど増収率が下がり、業績悪化の傾向にある。また、70代以上は「赤字」や「連続赤字」の構成比が他の年代より高く、社長の年齢が上昇するにつれて業績は悪化している。
2022年に「休廃業・解散」した企業の社長の年齢は平均71.63歳で、3年連続で70代に乗せた。一方、生存企業の社長の平均年齢は63.02歳で、差は8.61歳と、2018年以降の5年間で最も年齢幅が拡大した。「休廃業・解散」した企業の社長の年齢別分布は、70代以上が65.2%で、2018年から10.5ポイント上昇し、5年間で最も高かった。代表者の高齢化と業績の相関関係は、企業の後継者問題や事業承継が容易でないことを示している。
都道府県別では、社長の平均年齢の最高は「秋田県」の65.33歳で、前年の64.91歳から0.42歳上昇し、2年連続トップとなった。以下、「高知県」64.94歳(前年64.88歳)、「長崎県」64.60歳(同64.19歳)、「山形県」64.42歳(同64.13歳)、「岩手県」64.38歳(同64.10歳)の順。一方、最年少は「大阪府」の61.76歳(同61.50歳)で、2018年以来、4年ぶりに最年少になった。
総務省統計局の人口推計(2021年10月1日現在)から算出した「65歳以上人口比率」をみると、社長の平均年齢が高い「秋田県」は38.09%(全国1位)、「高知県」は35.81%(同2位)と社長の高齢化と一致している。一方、社長の平均年齢が低い「大阪府」は27.73%で、全国41位だった。また、65歳以上の人口比率が最も低い「東京都」の社長の平均年齢は37位の62.77歳(前年62.70歳)だった。
同調査結果は↓