2019年景気、「悪化」局面見込む企業が29.4%に急増

 帝国データバンクがこのほど発表した「2019年の景気見通しに対する企業の意識調査」結果(有効回答数9746社)によると、2018年の景気動向は、「回復」局面だったと回答した企業は9.4%となり、2017年の景気動向(2017年11月調査)から11.8ポイント減少し、2年ぶりに一ケタ台に低下した。他方、「踊り場」局面とした企業は54.7%と2年ぶりに半数を超えたほか、「悪化」局面は17.2%と2年ぶりの二ケタ台へと増加した。

 2019年の景気について、「回復」局面を迎えると見込む企業(9.1%)は、2018年の見通しを聞いた前回調査(20.3%、2017年11月実施)から11.2ポイントの大幅な減少となった。一方で、「悪化」局面を見込む企業(29.4%)は3割近くにのぼり、2013年見通し(34.6%、2012年11月調査)以来となる水準まで増加した。景気の先行きについて、1年前より慎重な見方を強めている企業が急速に増加している様子がうかがえる。

 2019年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料(3つまで回答)は、「消費税制」が55.3%と前回調査(25.7%)から倍増して半数超に達した。「消費税制」は、消費税率8%への引上げを前にした2014年(2013年11月調査)で58.6%に達したのち、緩やかに減少していた。しかし、今回は半数を超える結果となり、2019年10月に予定されている消費税率10%への引上げに対して、多くの企業が懸念していることが浮き彫りとなった。

 次いで、「人手不足」(46.2%)及び「原油・素材価格(上昇)」(45.4%)が2年連続の4割台で続いた。労働市場のひっ迫や原材料価格の上昇による悪影響を懸念する企業も多い。また、米中における関税引上げなど「貿易摩擦の激化」を挙げた企業は14.5%。他方、「為替(円高)」は前回調査より9.3ポイント減少し7.4%となるなど、外国為替レートが2018年に入り比較的安定した動きを示すなか、為替変動を懸念する企業は大きく減少した。

 今後、景気が回復するために必要な政策(複数回答)については、「人手不足の解消」が42.7%と4割を超えトップ。次いで「個人消費拡大策」(32.8%)、「所得の増加」(29.6%)、「個人向け減税」(29.4%)、「雇用対策」(27.9%)、「消費税率引上げへの対策」(27.6%)が続いた。消費税率引上げを控えて、所得増加や個人向け減税などを通じた個人消費の拡大を重要課題と捉えている様子がうかがえる。

 同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181205.pdf