「ゾンビ企業」は約18.8万社、前年度から一段の増加

 低金利環境でなければ存続できない「ゾンビ企業」が一段と増加している。帝国データバンク(TDB)が発表した「ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向)によると、同社が保有する企業財務データベースにおいて、国際決済銀行(BIS)の定める「ゾンビ企業」の基準、「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が判明、かつ設立10年以上」の企業は9万4885社あることが分かった。

 そのうち、「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオが1未満、かつ設立10年以上」の企業は1万2256社で、その割合がゾンビ企業率12.9%となる。2020年度と比較すると1.5ポイントの上昇。ゾンビ企業率12.9%を企業概要データベース収録の約147万社を母集団として当てはめると、2021年度の「ゾンビ企業」数は推定18.8万社にのぼる。2020年度の約16.6万社から13.3%の増加となり、ゾンビ企業数は2年連続で増加となった。

 ゾンビ企業と推定される18.8万社を業種別にみると、「建設業」が約6万2600社、構成比 33.3%で最多。次いで「製造業」が約3万9600社、同21.1%、「卸売業」が約3万4400社、同18.3%を占めている。売上規模別の分類では、「売上高1~5億円未満」が約8万3500社、構成比44.4%で最も多い。売上高5億円未満の中小・零細企業で約12万8200社、全体の7割近くを占めている。

 地域別では「関東」が構成比26.3%で最多、次いで「近畿」16.4%、「中部」15.2%と、三大都市圏で6割近くを占めている。また、後継者の有無をみると、「後継者あり」が約7万1800社で構成比38.2%、「後継者不在」が約11万6100社、同61.8%を占めている。TDBの全国企業の後継者不在率動向調査では2022年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%となっており、ゾンビ企業はこれを上回っている。

 2021年度のゾンビ企業の財務状況をみると、企業の収益力を示す「売上高経常利益率」は平均▲4.94%と前年度より1.35ポイント悪化。「有利子負債月商倍率」は10.63倍と、前年度より微増、借入れ負担は増し、過剰債務となっている。企業の安定性を示す「自己資本比率」をみると、昨年度は1.24%とかろうじて資産超過だったのが、今年度は▲2.72%と債務超過に転落した。ゾンビ企業の財務状況はより厳しさを増している。

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