2022年の飲食業倒産は522件、過去20年間で最少

 東京商工リサーチが発表した「2022年の飲食業の倒産動向調査」結果によると、昨年の「飲食業」倒産は522件(前年比▲19.4%減)で、2003年以降の過去20年間で最少となった。飲食業倒産が500件台にとどまったのは、2004年以来、18年ぶり。2020年はコロナ禍で業況が急激に悪化し、倒産は過去最多の842件を記録したが、その後は各種支援策が奏功し、飲食業倒産は2年連続で減少をたどった。

 2022年の飲食業倒産は、2月(前年同月比5.4%増)を除いて前年同月を下回っていたが、11月(同25.6%増)、12月(同15.3%増)と2ヵ月連続で大幅な増加に転じた。この背景には、12月にコロナ関連倒産が月間最多となる42件発生した影響もある。月次でもコロナ関連倒産率が5割を下回ったのは7月(39.0%)のみで、コロナ禍の直撃を受けた飲食業界を支えた資金繰り支援策の息切れが倒産に直結しつつある。

 業種別は、最多が「酒場、ビヤホール(居酒屋)」の120件(前年比▲21.0%減、構成比22.9%)。次いで、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店を含む「専門料理店」の118件(同▲30.5%減、同22.6%)、「食堂、レストラン」112件(同▲5.0%減、同21.4%)の順。倒産が増加したのは、「宅配飲食サービス業」34件(同47.8%増)と、「持ち帰り飲食サービス業」20件(同25.0%増)の2業種だった。

 原因別の最多は、「販売不振」の427件(前年比▲21.7%減)。以下、「既往のシワ寄せ」30件(同▲18.9%減)、「他社倒産の余波」19件(同18.7%増)の順。コロナ禍での各種資金繰り支援の終了や縮小で、支えきれず倒産する飲食業者は今後増加する可能性がある。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は457件(同▲21.6%減)で、飲食業倒産に占める構成比は87.5%(前年89.9%)だった。

 以上のように、コロナ関連の資金繰り支援や協力金・支援金などが下支えし、飲食業の倒産は抑制されていたが、時間の経過に伴い各種支援策は縮小や終了し、飲食業の倒産は2022年11月から2ヵ月連続で増加に転じている。また、売上回復が遅れるなか、光熱費や食材価格、人件費などコスト負担が急激に増加し、倒産が増勢の兆しを強めている。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230112_01.html