国内111銀行の2018年9月中間期単独決算の「リスク管理債権」合計は6兆2189億円(前年同期比8.5%減)で、6年連続で前年同期を下回ったことが、東京商工リサーチが発表した「111行のリスク管理債権状況調査」結果で分かった。9月中間期では、リーマン・ショック直前の2008年9月中間期の5割弱(46.8%減)まで縮小、過去最低を更新した。貸出金に占めるリスク管理債権比率は1.1%で、前年同期より0.2ポイント改善した。
リスク管理債権の内訳では、「破綻先債権」が2213億円(前年同期比14.7%減)、「延滞債権」が4兆6780億円(同5.0%減)、「3ヵ月以上延滞債権」が536億円(同39.0%減)、「貸出条件緩和債権」が1兆2657億円(同16.7%減)と、全区分で前年同期を下回った。シェアハウス問題で揺れるスルガ銀行を除く110行の「リスク管理債権合計」は5兆9438億円で、前年同期(6兆7684億円)に比べ8245億円減少(12.1%減)だった。
業態別の「リスク管理債権」は、大手行が1兆6952億円(前年同期比26.6%減)と、9月中間期では調査を開始以降、初めて2兆円を、また、第二地銀も9828億円(同3.7%減)と初めて1兆円をそれぞれ下回った。一方、地方銀行は3兆5408億円(同2.1%増)と、唯一、前年同期を上回った。ただ、シェアハウスオーナーへの不正融資が明らかになったスルガ銀行を除いたリスク管理債権は3兆2657億円で、前年同期比4.9%減少となる。
「リスク管理債権」が増加したのは、大手行1行(前年同期1行)、地方銀行14行(同8行)、第二地銀13行(同5行)の計28行。前年同期の14行から2倍増となった。地域の中小企業を主に取引先とする地方銀行と第二地銀で増加が目立つ。銀行別に「リスク管理債権」の増加率をみると、スルガ銀行が前年同期比858.6%増でトップ。賃貸用不動産向け貸出がリスク管理債権を大きく押し上げた。
111行の2018年9月中間期の貸出金は531兆5768億円(前年同期比4.5%増)で、2011年9月中間期以降、8年連続で前年同期を上回った。また、貸出金の増加率は2013年9月中間期(前年同期比5.4%増)に次ぐ2番目に高い伸びとなった。111行のうち、大手行が全7行、地方銀行は62行(構成比96.8%)、第二地銀は35行(同87.5%)、計104行で貸出金が前年同期を上回った。
また、貸倒引当金は2兆5812億円(前年同期比8.0%減)で、2010年9月中間期以降、9年連続で前年同期を下回った。業態別では、大手行が9279億円(同27.5%減)、第二地銀が3140億円(同1.1%減)と前年同期を下回った。一方、地方銀行は1兆3392億円(同10.8%増)と唯一、前年同期を上回った。ただ、スルガ銀行(1860億円)を除くと、地方銀行は1兆1531億円(同3.6%減)で前年同期を下回る。
同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20181210_04.html