帝国データバンクがこのほど発表した「全国企業財務分析調査」結果によると、企業の収益性を図る指標の一つ「売上高経常利益率」は、2017年度は全産業平均で2.88%となった。2016年度(2.72%)と比較して0.16ポイント上昇。リーマン・ショック発生直後の2009年度(▲0.63%)以降上昇傾向で推移し、過去最高を更新した。業種別にみると、2017年度は5業種中3業種において、過去最高を更新した。
特に「製造業」(3.92%)は、自動車製造や機械製造が好調だったことも寄与し、全産業平均を大きく上回って推移。このほか、「建設業」(2.45%)も大きく上昇し、2016年度から0.13ポイント上昇した。一方、「小売業」(1.59%)と「運輸・通信業」(2.60%)の2業種は2016年度から悪化。なかでも、「運輸・通信業」は2016年度から0.36ポイント減の悪化となり、2017年度における落込み幅は全業種中最大となった。
企業財務の健全性を図る指標の一つ「自己資本比率」は、2017年度は26.4%となった。自己資本比率は、2016年度(25.7%)にはリーマン・ショック前の2007年度(24.7%)を上回り、2017年度は過去10年間でも最高となった。近年、業績が好調な企業を中心に、増資及び内部留保を継続的に蓄積しているほか、借入金など外部負債を返済することで自己資本比率を高めており、2017年度もこの傾向が継続した。
業種別にみると、5業種全てで前年度から自己資本比率の改善が進んだ。最も改善幅が大きかったのは「運輸・通信業」(2017年度:22.7%)で、前年度から1.1ポイント改善した。過去10年で最も改善が進んだのは「建設業」(2017年度:22.5%)。リーマン・ショック発生以降、公共工事の減少などで、自己資本比率が10.8%まで縮小した2010年度から、11.7ポイント上昇した。
企業の生産性を測る指標の一つで、人件費や販売費管理費用の比率を示す「一人当たり販売費管理費」をみると、2017年度は1028万3千円/人。過去10年間で最も低かった2010年度(871万円/人)から約1.2倍に拡大した。業種別にみると、一人当たり販売費管理費が高水準なのは「卸売業」と「小売業」の2業種。2017年度は、「卸売業」が1424万4千円/人、「小売業」が1657万2千円/人となり、ともに過去10年間で最高となった。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181204.pdf