2021年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は49.9ドル(5006円/購買力平価(PPP)換算)となったことが、日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較」で分かった。経済成長率が上向いたことで、前年より実質で1.5%上昇したが、コロナ対応で短くなっていた労働時間が増加に転じて生産性を下押しする要因になったため、経済成長率ほど労働生産性は上昇していない。
日本の労働生産性は、米国(85.0ドル/8534円)の6割弱(59.0%)の水準に相当し、主要先進7ヵ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。OECD加盟38ヵ国の中でも27位(2020年は26位)となり、順位でみると、データ取得可能な1970年以降で最も低く、エストニア(51.0ドル)やラトビア(48.6ドル)、スロバキア(48.3ドル)といった東欧・バルト諸国などとほぼ同水準となっている。
また、就業者一人当たりでみた2021年の日本の労働生産性は、8万1510ドル(818万円/購買力平価(PPP)換算)。ポーランド(8万5748ドル)やハンガリー(7万6697ドル)といった東欧諸国、ニュージーランド(8万5383ドル)、ポルトガル(7万7970ドル)とほぼ同水準で、西欧諸国では労働生産性水準が比較的低い英国(10万1405ドル)やスペイン(9万7737ドル)と比較しても2割近く低くなっている。
日本の一人当たり労働生産性は、前年から実質ベースで2.1%上昇したが、OECD加盟38ヵ国中29位(2020年は28位)と、1970年以降最も低い順位。就業者一人当たりでみても、主要先進7ヵ国で最も低い水準。また、2020年の日本の製造業の労働生産性(就業者一人当たり付加価値)は、9万2993ドル(1011万円/為替レート換算)。米国(15万9865ドル)の6割弱(58%)に相当し、OECD加盟の主要35ヵ国の中では18位だった。
なお、2021年の労働生産性(時間当たり・実質ベース)が「コロナ前」 (2019年)の水準を上回るのは、OECD加盟38ヵ国中33ヵ国にのぼる。日本も2019年水準をやや上回る(2019年比100.5%)が、OECD加盟38ヵ国中31位となっている。足もとの2022年7~9月期の労働生産性上昇率(一人当たり・実質ベース前年同期比)は+1.3%と、日米英独4ヵ国の中で最も高い上昇率だった。
「労働生産性の国際比較2021年」は