東京商工会議所が発表した「中小企業の経営課題に関するアンケート調査」結果(有効回答数1305社)によると、本年1月~9月の売上高は、昨年同時期との比較で「増加」の回答が41.0%と、「減少」の26.3%を約15ポイント上回り、回復基調にある。受注単価とコストの状況について、本年1月~9月の「販売・受注単価」は昨年同時期と比較して、「単価上昇」の回答が40.2%だった。
一方、「原材料・仕入れ単価」においては「単価上昇」と回答した割合が74.6%、「販売管理費」においても「費用上昇」が54.9%にのぼるなど、多くの企業でコストが上昇している傾向にある。今期の収益見通しにおいて「黒字」と回答する割合は、前期(直近決算期)と比較し6.7ポイント減少している。価格転嫁について、43.8%の企業がコスト増加分の半分未満、79.9%の企業が完全には転嫁ができていない。
76.9%の企業がコロナ以降に新たな取組みを実施、または既存の取組みを強化している。実施した取組み(複数回答)は「新製品・新サービス開発」(31.6%)と「人材の採用・開発・教育の強化」(29.7%)が約3割となり、続いて、業務効率化や市場開拓に関する取り組みが上位にあがっている。実施した取組みのうち製品開発・市場開拓に関連した取組みは、成果(売上や収益)につながった割合が高い。
また、新分野展開や業態転換などの事業再構築の取組みは、成果が出始めている企業も一定数いる。ITツールを導入している割合は年々増加し、今回の調査では61.6%となった。スタートアップとの関係について、経営者年齢別では、「関係あり」、「興味がある」と回答した割合は40歳代以下が約半数で最多。規模別では、中規模企業の方が「関係あり」、「興味がある」と回答した割合が高く、小規模企業では「分からない」が約65%となっている。
資金繰りでは、新型コロナウイルス関連融資について、収益状況に関わらず、56.9%と6割弱の企業が約定通りに返済ができているが、赤字企業の約2割(19.4%)は、「据置期間中(借換えにより据置きを延長した)」となっている。新型コロナウイルス関連融資の今後の返済見通しについて、既に借換えにより据置期間を延長している企業の37.3%が「今後も据置期間の延長等をする予定」と回答している。
同調査結果は