9月中間決算GC注記・重要事象記載85社、高止まり

 東京商工リサーチが発表した上場企業の「継続企業の前提に関する注記調査」結果によると、2022年9月中間決算を発表した上場企業2360社のうち、決算短信で「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)」(GC注記)を記載したのは23社だった。また、GC注記に至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」は62社だった。

 GC注記と重要事象を記載した企業は合計85社となり、コロナ禍以降では、最多だった2022年3月期本決算から9社減少した。コロナ禍前と比較して、総数は高止まりが続いているが、GC注記企業は2022年3月期決算より1社減少。新たに記載した企業はゼロで、コロナ禍前の水準にほぼ戻った。重要事象の記載企業は同8社減少し、62社となった。再建に取り組んでいた企業が黒字転換を果たして解消するケースが目立った。

 一方、ジーネクスト、ランサーズ、神東塗料、堀田丸正の4社は、2022年3月期本決算では記載していなかったが、第1四半期決算以降で新たに記載した。このうち、塗料メーカーの神東塗料は、2022年3月期本決算で原材料価格の高騰等の影響で大幅な損失を計上。当中間決算でも「原材料価格高騰等の売価是正や生産合理化等が一部にとどまった」として初めて重要事象を記載し、価格転嫁の難しさを示している。

 GC注記・重要事象を記載した85社を理由別にみると、68社(構成比80%)が重要・継続的な売上減や損失計上、営業キャッシュ・フローのマイナスなどの「本業不振」を理由としている。また、「本業不振」のうち損失計上の原因にウクライナ情勢や円安による原燃料、原材料価格の高騰などをあげた企業が6社あった。次いで、「新型コロナ影響あり」を理由としたのが33社、「財務制限条項に抵触」が14社と続く。

 GC注記・重要事象を記載した85社を業種別にみると、「製造業」が30社(構成比35.2%)で最多。以下、「サービス業」が19社(同22.3%)、外食業者13社を含む「小売業」が17社(同20%)、「情報・通信業」が6社(同7.0%)と続く。母数が多い製造業とコロナ禍の影響が大きいサービス業と小売業が全体を押し上げ、上位3業種で66社(同77.6%)にのぼり、全体の約8割を占めた。

 新型コロナによる影響を要因の一つに挙げた企業は33社で、2022年3月期本決算から10社減少。経済活動の再開などで需要が持ち直し、業績回復に繋げた企業などが解消した。ただし、業種別では依然として「小売業」が最多の15社(構成比45.4%)で、このうち外食産業が13社と大半を占める。次いで、「サービス業」が10社(同30.3%)と続き、小売業とサービス業で25社にのぼり、7割超(同75.7%)を占めた

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221209_01.html