1ドル=143円局面、企業の半数以上が「マイナス」

 東京商工リサーチが10月3日~12日に実施した「円安に関するアンケート調査」結果(有効回答数5019社)によると、9月の1ドル=143円前後の円安局面で、経営に「マイナス」と回答した企業は54.1%と半数を超えた。前回調査(8月、1ドル=137円前後)の48.7%から5.4ポイント悪化した。規模別では、「マイナス」は中小企業で54.7%を占め、大企業でも5割(50.2%)を超えた。

 円安の進行に伴い、企業への「マイナス」影響が深刻さを増している一方で、「プラス」は2.5%、「影響はない」は23.4%だった。規模別では、「マイナス」は大企業が50.2%(663社中、333社)に対し、中小企業は4.7%(4356社中、2385社)で、中小企業が4.5ポイント上回った。前回調査からは、それぞれ7.6ポイント、4.9ポイントずつ「マイナス」影響の割合が上昇した。

 業種別(業種中分類、回答母数20以上)でみると、「プラス」と回答した業種のトップは「ゴム製品製造業」の12.9%。以下、「業務用機械器具製造業」12.0%、「電子部品・デバイス・電子回路製造業」10.5%と続く。上位10業種中8業種を製造業が占め、輸出産業で「プラス」もあったが、原材料の輸入価格上昇などの影響もあり、「プラス」の構成比が1割を超えたのは上位3業種のみだった。

 一方、「マイナス」と回答した業種トップは「飲食店」の85.1%で、前回調査の81.8%から3.3ポイント上昇。次いで、「繊維・衣服等卸売業」83.3%、「食料品製造業」80.8%の順。ワースト3業種で「マイナス」が8割を超えた。また、上位10業種中、食品に関連した業種が3業種を占めた。円安による製品や原材料の仕入コスト上昇で利益が圧迫され、企業業績にも深刻な影響が広がっている。

 望ましい円相場は、最多レンジが「110円以上115円未満」の27.3%。同レンジが前回調査(29.9%)に引き続き最多だったが、2.6ポイント低下。次いで、「120円以上125円未満」25.5%、「115円以上120円未満」19.7%の順。希望レートが「110円以上125円未満」のレンジの企業が72.6%(前回調査75.1%)を占めた。一方、希望レートを「130円以上」と回答した企業は8.1%で、前回調査の3.9%から4.2ポイント上昇した。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221017_01.html