「書面添付している」は前年比0.6ポイント増の23.7%

 先日発表された東京税理士会の2018年度「税務調査アンケート」では、税務調査日数は1日〜2日で終了との回答割合が、約74%だったことなどが明らかになったが、同調査では書面添付制度についてもアンケートを行っている。調査結果(有効回答数1748会員)によると、回答のあった1519件のうち、「書面添付をしている」ものは360件で、添付割合は前回(23.1%)に比べ0.6ポイント増の23.7%となった。

 「添付している」と回答した360件(23.7%)の内訳は、「全て添付している」が52件(3.4%)、「一部添付している」が308件(20.3%)。また、「添付していない」と回答した1159件(76.3%)のうち、「過去に添付していたが、今は添付していない」との回答が41件(2.7%)あった一方で、「今は添付していないが、今後添付する予定」との回答が69件(4.5%)あり、今後の添付割合の上昇が期待できそうな結果となった。

 書面添付の件数については、「法人税(消費税含む)」は、総申告件数1万2104件のうち書面添付した件数が5433件で44.9%(前回40.1%)、「所得税(消費税含む)」は、同1万2068件のうち書面添付した件数が1956件で16.2%(同15.2%)、「相続・贈与税」は、同985件のうち書面添付した件数が592件で60.1%(同50.2%)であり、今年度は全税目において添付比率が昨年度より上昇している。

 書面を添付している理由(複数回答)については、「税務調査の省略化」が60.3%で最も多く、次いで「業務品質の向上」(48.3%)、「税理士の権利」(36.9%)、「業務上の責任範囲を明確化」(35.8%)、「顧問先に対するアピール」(34.2%)、「金融機関に対するアピール」(8.9%)などが挙げられた。その他の理由としては、事実認定の説明、顧問先からの要望、顧問先及び当方(税理士)の意識の向上などの回答があった。

 一方、書面を添付していない理由(複数回答)では、「時間や労力がかかり煩雑」が50.2%で最も多く、次いで「添付する効果が不明」(48.2%)、「科目内訳書及び概況書で十分」(33.2%)、「報酬の請求が困難」(31.0%)などが続いた。東京会では、「書面添付制度を積極的に活用していくためには、制度の趣旨を税理士がよく理解することが肝要。引き続き、制度の研修等を充実させ、制度の普及・定着に努めていきたい」としている。