東京商工リサーチが発表した「2022年度上半期(4~9月)の負債1000万円未満の倒産調査」結果によると、同期の負債1000万円未満の倒産は195件(前年同期比▲17.3%)で、年度上半期では2年連続で前年同期を下回った。2008年度以降の15年間では、2014年度(189件)に次いで5番目に低い水準に落ち着いた。「新型コロナ」関連倒産は61件(前年同期58件)で、負債1000万円未満の倒産の31.2%(同24.5%)だった。
負債1000万円未満の倒産は、ほとんど小・零細企業で、資金力が乏しい。倒産自体は低水準だが、業績回復が進まず、コロナ借入の返済が始まり事業継続を断念するケースが増えつつある。産業別では、10産業のうち、増加したのは建設業と不動産業、情報通信業の3産業で、7産業が減少。最多は、「サービス業他」の91件(前年同期比▲15.7%)で、2016年度(73件)以来、6年ぶりに100件を下回った。
このほか、「農・林・漁・鉱業」が5件(前年同期比▲16.6%)で5年ぶり、「製造業」6件(同▲14.2%)と「卸売業」11件(同▲57.6%)、「運輸業」1件(同▲85.7%)が2年連続、「小売業」が20件(同▲42.8%)で2年ぶりに、それぞれ前年同期を下回った。「金融・保険業」は、年度上半期では2008年度以降の15年間で初めて発生がなかった。一方、「不動産業」が8件(同60.0%増)、「建設業」43件(同30.3%増)と前年同期を上回った。
形態別は、最多が「破産」の191件(前年同期比▲16.2%)で、年度上半期では2年連続で前年同期を下回り、構成比は97.9%を占めた。このほか、「取引停止処分」が2件、「民事再生法」と「特別清算」が各1件だった。負債1000万円未満の倒産は、ほとんどが小・零細企業が占めている。業績不振が続くなか、先行きの見通しが立たない企業が多い。このため、経営再建や事業再構築に資金を回す余力はなく、事業継続を断念するケースが多い。
原因別では、「販売不振」が134件(前年同期比▲23.8%)で最多だったが、年度上半期では2年連続で前年同期を下回った。負債1000万円未満の倒産の約7割(68.7%)を占め、前年同期から5.8ポイント低下。「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が16件(同▲33.3%)だった。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は143件(同▲22.2%)で、2年連続で前年同期を下回った。
資本金別では、「1000万円未満(個人企業他を含む)」が186件(前年同期比▲16.5%)で、年度上半期としては2年連続で前年同期を下回った。構成比は95.3%で、前年同期より0.9ポイント上昇した。内訳は、「100万円以上500万円未満」65件(同▲25.2%)、「個人企業他」60件(同▲26.8%)、「100万円未満」40件(同14.2%増)、「500万円以上1000万円未満」21件(同10.5%増)だった。
同調査結果は