デロイト トーマツ グループはこのほど、「企業の不正リスク調査白書」を発表した。同調査は、無作為抽出した上場企業・非上場企業を対象に2022年5月から7月にかけて、不正の実態及び不正への取組みに関するアンケート調査を依頼し、476社から回答を得たもの。その調査結果によると、過去3年間に何らかの不正・不祥事が発生した企業は52%となり前回調査の54%に続き50%を超えている。
不正・不祥事が発生した企業は若干減少しているが、コロナ禍のリモートワーク環境下での内部通報の微減などからも、不正・不祥事が「発覚」しづらい状況が影響していると推察している。その一方で、足元の減少に反して、今後の不正リスクが「高まる」と予想する企業は64%と前回から5ポイント増加。特にリモート環境への変化・継続を背景に、サイバー攻撃や情報漏洩の増加を予想する企業は約6割に達している。
さらに、会計不正の発生予測も3割程度あり、コロナ終息に伴い不正が発覚する可能性の高まりや、ロシア・ウクライナ情勢による政情不安の広がり、資源不足・物価高騰などに起因する業績悪化などから不正や不祥事のリスクが懸念されるようだ。また、品質不正やデータ偽装の原因として、品質よりも納期や業績を優先する組織風土を挙げた企業が51%と半数以上となった。
不正・不祥事を予防し、あるいは早期発見して対応するための組織風土上の課題としては、「問題の共有を一部の関係者に留める」(42%)や「他部門との横連携が希薄」(40%)など社内における情報共有の在り方を挙げる企業も多く存在し、また、「内向き、忖度の傾向がある」(45%)や「考え方の多様性が乏しい」(49%)などコロナ以前から抱える組織風土上の課題も確認された。
今回の調査では、品質検査や内部統制、組織風土改革推進といった不正・不祥事対策を担う部門の人材不足を嘆く企業の割合が共通して過半を占めている。外部専門家やツールの活用は、多くの企業では実態把握や研修教育などの比較的軽度な業務での活用にとどまる。不正・不祥事対応への経営資源の配分は、経営者の認識や社内の知識・認識ギャップが重要な決定要因と示唆する回答もあり、総じてトップダウンによる推進の必要性が示された。
同調査結果は
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20221007.html