帝国データバンクが発表した「脱炭素社会に向けた企業への影響調査」結果(有効回答数1万1503社)によると、脱炭素社会の進展が今後の自社の事業に与える影響は、「プラスの影響」があるとした企業は14.0%と、2021年に実施した同様の調査から▲0.8 ポイント減となった。一方、「マイナスの影響」は同3.4 ポイント増の19.5%となり、マイナスの影響がある企業はプラス影響がある企業を5.5ポイント上回った。
脱炭素社会の進展が「プラスの影響」と考える企業を主な業種別にみると、「金融」が23.3%、「農・林・水産」(22.6%)や「電気機械製造」(22.3%)も2割超だった。一方、「マイナスの影響」では、ガソリンスタンドなどを含む「専門商品小売」(55.8%)が全体を36.3ポイント上回った。また「自動車・同部品小売」(42.2%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(35.8%)、「運輸・倉庫」(35.5%)は全体より15ポイント以上高くなった。
電気自動車(EV)の普及が今後の自社の事業に与える影響では、「プラスの影響」とした企業は前回調査から▲1.1ポイント減の12.3%。他方、「マイナスの影響」とした企業は同▲1.1ポイント減の13.8%となり、「影響はない」が1.6ポイント増の42.3%だった。また、EVの普及により「プラスの影響」がある企業を主な業種別にみると、「電気機械製造」が29.8%と、全体(12.3%)を17.5ポイント上回った。
以下、「家電・情報機器小売」(25.4%)や「自動車・同部品小売」(22.9%)は全体より10ポイント以上高い。一方、「マイナスの影響」では、ガソリンスタンドなどを含む「専門商品小売」(50.8%)は全体を37.0ポイント上回った。また、「自動車・同部品小売」(43.1%)、自動車や自動車部品メーカーを含む「輸送用機械・器具製造」(39.8%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(32.3%)などでもマイナスの影響があるとする企業が多い。
EVの普及による「自動車関連業種」への影響に限定すると、「プラスの影響」とした企業は16.5%となった。一方、「マイナスの影響」は46.5%と、全体を32.7ポイント上回った。EVの普及が今後の事業拡大のチャンスと捉える企業の声は一部挙がっているものの、電動化による部品の減少や設備投資・技術面での対応を懸念する声が、自動車部品メーカーといった川上産業から川下産業である自動車整備業まで、数多く挙がっている。
同調査結果は