商工中金がこのほど発表した「中小企業の海外進出に対する意識調査」結果(有効回答数4393社)によると、海外進出の現状と今後の予定は、全産業では全体の11.3%が「進出実績あり」と回答し、「進出実績はないが、今後進出の予定」は2.3%だった。業種別にみると、製造業では「進出実績あり」の回答割合は19.3%、「今後進出予定」は2.6%。非製造業では、「進出実績あり」が7.0%、「今後進出予定」が2.2%だった。
これらの結果は、2012年7月及び2015年1月の同種の調査結果から大きな変化はなかった。「進出実績あり」及び「今後進出予定」との回答企業の構成比を比べると、「進出実績あり」との回答企業に占める非製造業は40.8%だったのに対し、「今後進出予定」の回答では61.7%にのぼった。少子高齢化による人口減少で国内市場の縮小が見込まれる中、今後の中小企業の海外進出にはこれまで以上に非製造業の存在感が増していく可能性がある。
海外進出を行う理由(複数回答)としては、「海外市場の拡大が今後期待できるため」(52.7%)が最多、「安い人件費等を活用したコストダウンのため」(33.5%)が続く。業種別で比較すると、「コストダウンのため」、「日本国内の取引先企業が海外進出を行うため」などは非製造業と比較して製造業の回答比率が高い。製造業ではサプライチェーン全体の海外進出とあわせて自社も海外進出を図っていること等が背景にあるとみられる。
海外進出状況を「進出実績あり」と回答した企業では、「海外市場の拡大が今後期待できるため」(49.2%)が最多で、次いで「安い人件費等を活用したコストダウンのため」(37.3%)が多かった。これに対し「今後進出予定」の企業では、「海外市場の拡大が今後期待できるため」(68.1%)という理由が圧倒的に多い。このように、既に進出済みの企業は海外市場の拡大に次いでコストダウンという理由も強く意識していた。
現在進出している国(複数回答)で最も多いのは「中国」(55.4%)であり、「タイ」(23.6%)、「ベトナム」(20.6%)、台湾(16.6%)と続く。一方で今後進出を予定している国(複数回答)で最多は「ベトナム」(32.4%)、以下、「タイ」(22.3%)、「中国」(21.8%)、「台湾」(16.5%)と続く。進出予定国について前回調査時の回答と比較したところ、ベトナムが最も多く、タイ、中国等がそれに次ぐ多さであるという状況は前回から変わっていない
同調査結果の詳細は↓
https://www.shokochukin.co.jp/report/tokubetsu/pdf/cb18other05_01.pdf