信金中央金庫が発表した2022~23年度経済見通しによると、実質成長率は22年度1.6%、23年度1.5%と予測した。2022年4~6月のGDPは、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増、年率に換算すると2.2%増となった。新型コロナウイルスの感染一服を受けて外出行動が回復したため、個人消費は前期比1.1%増加した。設備投資は前期比1.4%増と2四半期ぶりのプラスとなった。
前年度補正予算に計上された公共事業が進捗したことで公共投資は6四半期ぶりに増加した。中国・上海ロックダウンの影響で自動車や産業機械などモノの輸出は伸び悩んだが、サービス輸出の増加が寄与し、輸出全体では前期比0.9%増となった。輸入が前期比0.7%増と輸出の伸びを下回ったため、輸出から輸入を差し引いた純輸出は、年率換算の実質成長率を0.2%ポイント押し上げた。
足元では新型コロナの感染が再び拡大しており、7~9月は個人消費の回復にブレーキがかかるとみられる。ただ、秋口には感染が沈静化するとみられ、旅行や外食などサービス関連消費をけん引役に個人消費は回復の動きを取り戻すとみている。一方、半導体不足などの供給制約は引き続き生産活動の下押し要因となっている。半導体不足の影響は今後徐々に緩和するとみられているが、自動車生産の本格回復は早くとも年末頃となると予測。
当面も供給制約の影響が残ることから、輸出の増加ペースは緩やかなものにとどまると予想している。また、2022年4~6月の実質設備投資は前期比1.4%増と2四半期ぶりに増加に転じたが、コロナ禍での持直しの動きが広がった2021年4~6月の水準には届いていない。設備投資は今後も回復基調で推移すると見込んでいるが、下振れのリスクも想定しておく必要があるとしている。
2022年度の実質成長率は1.6%と前回予測(2.3%)から下方修正した。新型コロナウイルスの感染再拡大で個人消費が下押しされるほか、供給制約の長期化に伴う生産回復の遅れと世界経済の減速で輸出が伸び悩むとの見方に変更したためだ。2023年度にはコロナ禍で落ち込んだ経済活動が正常化すると想定している。実質成長率は1.5%へ鈍化するが、コロナ前の経済活動を取り戻すことで景気の回復感が広がると予測している。
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