ゾンビ企業とは、国際決済銀行(BIS)の定義に基づき、3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上の企業をいう。帝国データバンクが発表した「ゾンビ企業の属性分析調査」結果では、ゾンビ企業(1万2037社)を規模別にみると、売上規模では「1億~5億円未満」が構成比44.4%で最多となった。ゾンビ企業の3社に2社は年商5億円未満の中小企業である。
従業員規模別にみると「6~20人」が最多で、構成比36.9%となった。「5人以下」の小規模業者も31.0%と多い。BISの定義上、ゾンビ企業は設立10年以上の企業であることを鑑みれば、業歴に比して収益力が思うように高まらない中小・零細業者がゾンビ企業化しやすいと言える。また、10年ごとに区切った業歴別にみると、「50~59年」が最多で構成比 15.4%。業歴30年以上が全体の7割超に達し、50年以上でも4割を占める。
後継者の有無をみると、「後継者あり」の企業は39.0%、「後継者不在(未定・未詳含む)」は61.0%となり、ゾンビ企業の過半は後継者不在となっている。なお、一般的な企業の後継者不在率も61.5%と同水準であり、大差がないようにみえるが、ゾンビ企業は国際決済銀行(BIS)の定義として設立10年以上経過している企業であることを加味すれば、実質的な後継者不在率としてはやや高いと言えよう。
生存企業に占めるゾンビ企業の割合を「ゾンビ企業率」と定義し、業種別の状況をみると、「小売業」が最も高い17.4%となった。全業種平均のゾンビ企業率11.3%と比べると6.1 ポイント高い。また、燃料価格や人件費等の上昇に伴う価格転嫁が難しく利幅を確保しにくい「運輸・通信業」(ゾンビ企業率14.9%)や、設備投資に伴う債務が大きくなりやすい「製造業」(同12.9%)が全業種平均を上回った。
ゾンビ企業率を地域別にみると、最も高いのは「東北」の16.0%。全国平均の11.3%に対して4.7ポイント高い。次いで「中国」の13.3%となっている。「東北」については、東日本大震災からの復興に伴う資金繰り支援策や返済猶予措置などがあり、他地域に比べ借入負担が増加していることが背景にあるとみられる。また、これら支援措置の実施以降、抜本的な収益面の改善に至っていないことも理由となっているとみている。
同調査結果は↓https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220804.pdf