男性社員の育児休業取得促進は34.6%の企業が実施

 労務行政研究所が発表した「上場企業等における人事労務関連の実施状況調査」結果(有効回答数292社)によると、同調査で紹介された19の制度・施策の実施率は、「定年後の再雇用制度」が90.8%、「ハラスメントに関する相談窓口の設置」が89.0%、「内部通報制度」が84.9%と上位に並んだ。コロナ禍で普及した「オンライン面接」(79.8%)は約8割、「テレワーク」(67.5%)は7割近くの企業が実施していることが分かった。

 仕事上での旧姓使用は、近年、結婚により姓を変更することで生じる仕事上の不利益の解消や個人のアイデンティティーへの配慮を目的に認める企業は増加。2022年調査では83.9%となり、2010年の52.9%以降、右肩上がりで上昇し、2018年から16.4ポイントの伸びだ。仕事以外でも、2019年には住民票やマイナンバーカード、運転免許証で、2021年にはパスポートでも旧姓の併記が認められ、今後も取組みは進むとみられる。

 新型コロナ感染拡大への対応として政府が出社率の低減を要請したことなどから、「テレワーク(在宅勤務)」の導入が急速に進み、2022年調査では67.5%と2018年から55.7ポイントもの大幅な上昇。また、コミュニケーション手法が対面中心からオンライン中心へとシフトしたことに伴い、採用面接にも大きな影響が及んでいる。今回初めて調査した「オンライン面接」の実施率は79.8%と、現在、多くの企業が実施しているとみられる。

 副業・兼業の容認については、これまで否定的な企業も多かったが、働き方の多様化が進むなか、これを容認する動きも広がっている。厚生労働省が2020年9月に改定した「副業・兼業のガイドライン」では、懸念となっていた労働時間管理と健康管理のルールが明確に示された。こうした流れを受け、2018年は10.7%にとどまっていた「副業・兼業の容認(承認)」は、2022年に39.4%と上昇している。

 なお、育児・介護休業法の改正により、「産後パパ育休」が 2022年10月から創設される。そこで、今回初めて「男性社員の育児休業取得促進」を調査したところ、34.6%の企業が取り組んでいることが分かった。今後、改正法が施行されれば、実施率はさらに上昇するものとみられる。また、2022年4月から不妊治療が保険適用となったことを受け、2022年調査では、「不妊治療への支援」の実施率が12.0%と、2018年より7.5ポイント上昇している。

 同調査結果は↓https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000083364.pdf