帝国データバンクがこのほど発表した「企業が求める経済関連政策に関するアンケート調査」結果(有効回答数1926社)によると、政府に求める経済関連政策(複数回答)は、「物価高対策(事業者への資金繰り支援やガソリン減税・購入費補助など)」が 50.8%、「中小企業向け支援策の拡充」は 50.4%と、いずれも半数となった。次いで、「個人消費の拡大策」は43.1%、「安定的な電力供給に向けた対策」(42.4%)も4割超で続いた。
また、所得税や消費税などを含む「個人向け減税」(37.7%)及び法人税などを含む「法人向け減税」(36.7%)が必要と考えている企業は4割近くとなった。ほかにも、3割近くの企業が「人手不足への対応」(28.9%)や、円安の影響を背景に「為替レート変動への対策(為替介入など)」(28.2%)を求めている。企業規模別にみると、「大企業」では「物価高対策」が 56.1%でトップ、「安定的な電力供給に向けた対策」が49.4%で続いた。
一方で、「中小企業」では「中小企業向け支援策の拡充」が 53.8%で最も高く、「物価高対策」も50.0%と半数だった。政府に求める経済関連政策を主な業界別にみると、すべての業界で「物価高対策」が上位3項目にランクイン。特に原油価格の高騰により大きな影響を受けている「運輸・倉庫」では、72.7%の企業が物価高対策を求めており、全体(50.8%)を21.9 ポイント上回る結果となった。
また、個人の購買意欲に左右される「小売」では「個人消費の拡大策」(58.8%)の割合が最も高く、全体(43.1%)より15.7ポイント高かった。さらに、公共事業の受注が多い「建設」では「公共事業費の増額」(48.8%、全体比+27.4 ポイント)の割合が最も高いほか、「人手不足への対応」(43.9%、同+15.0 ポイント)が4番目に高く、主要7業界のなかでも突出して高い割合となり、「建設」における人手不足問題の深刻さがうかがえる。
ほかにも、電力消費が比較的大きい「製造」では「安定的な電力供給に向けた対策」(54.0%、全体比+11.6 ポイント)が上位3項目にランクインするなど、業界の特徴により差異がみられる。以上、実質賃金が上昇しない現状では消費マインドが冷え込み、企業及び家計は厳しい状況が続くことが予想される。また、少子化による労働力の減少や年金に対する不安など長期的にみても日本経済に対する懸念材料は多い。
同調査結果は↓https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220701.pdf