東京商工リサーチが発表した「負債1千万円未満の倒産動向調査」結果によると、2022年5月の負債1000万円未満の企業倒産は44件(前年同月比15.7%増)で、3ヵ月連続で前年同月を上回った。また、「新型コロナ」関連倒産は13件(前年同月10件)だった。負債1000万円未満の倒産に占める構成比は29.5%(同26.3%)で、2022年4月(33.3%)、2021年4月・7月(各29.7%)に次ぎ、4番目の高水準となった。
負債1000万円以上の企業倒産は2ヵ月連続で前年同月を上回ったが、小・零細企業がほとんどを占める同1000万円未満の倒産も増勢傾向にある。特に、小・零細企業は資産背景がぜい弱で、経営体力も乏しい。業績回復が遅れるなか、時間の経過とともに資金余力も限界に達する企業の脱落が増えることが懸念される。産業別では、10産業のうち、「建設業」と「製造業」、「卸売業」、「小売業」の4産業が増加した。
一方、減少は「農・林・漁・鉱業」、「情報通信業」、「サービス業他」の3産業、同数は3産業だった。最多は、「サービス業他」の14件(前年同月比▲22.2%)で、5月度では2年ぶりに前年同月を下回った。「サービス業他」は負債1000万円未満の倒産の31.8%を占め、前年同月の47.3%から15.5ポイント低下した。次いで、「建設業」10件(同150.0%増)と2.5倍に急増、「小売業」9件(同50.0%増)が続いた。
このほか、「製造業」(前年同月比300.0%増)と「卸売業」(同33.3%増)が各4件で、それぞれ2年連続で前年同月を上回った。一方、「農・林・漁・鉱業」が1件(前年同月2件)で5年ぶり、「情報通信業」がゼロ(同2件)で2年ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。また、形態別では、「破産」が43件(前年同月比19.4%増)で、5月度では2年連続で前年同月を上回った。
「破産」は、負債1000万円未満の倒産の97.7%を占め、前年同月から3.0ポイント上昇。「特別清算」は、前年同月と同件数の1件で、消滅型の倒産が100.0%だった。「民事再生法」は2年ぶりにゼロ。また、「会社更生法」は2008年以降の15年間では、1件も発生していない。負債1000万円未満の倒産は小・零細企業が大半で、業績不振から脱却できず、先行きの見通しが立たずに事業継続をあきらめるケースがほとんどを占めた。
原因別は、最多が「販売不振」の35件(前年同月比20.6%増)で、負債1000万円未満の倒産の79.5%を占め、前年同月より3.2ポイント上昇した。「既往のシワ寄せ(赤字累積)」は2件(同100.0%増)で、2年ぶりに増加。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)が37件(同23.3%増)で、負債1000万円未満の倒産に占める構成比は84.0%で、前年同月より5.1ポイント上昇した。
同調査結果は↓https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220608_01.html