2021年の新設法人は14万4622社と過去最多を記録

 東京商工リサーチが発表した「2021年の全国新設法人動向調査」結果によると、2021年に新しく設立された法人は14万4622社(前年比10.1%増)で、2019年以来、2年ぶりに前年を上回った。2007年以降で初めて前年比の増加率が10%を超え、件数は2017年を抜いて過去最多を記録した。一方、2021年の休廃業・解散は4万4377社(同▲10.7%)、倒産は6030社(同▲22.4%)と、ともに二ケタの減少率だった。

 コロナ禍の手厚い資金繰り支援で倒産が抑制され、休廃業・解散も判断が先送りされるなか、新設法人の突出した増加が目立った。産業別では、10産業すべて増加。増加率が最も高かったのは、「農・林・漁・鉱業」の7.4%(2469社→2900社)。コロナ禍の三密回避や地方回帰の動きが新設法人の動向にも影響を与えたとみられる。一方、増加率が最も低かったのは「不動産業」の2.6%(1万3919社→1万4281社)だった。

 2021年の新設法人で最も多かった商号は、「LINK」の54社(前年51社)。「結びつき」や「連結」、「絆」などを意味しているとみられる。また、相手ができないことを助ける意味の「アシスト」は2位の51社(同49社)で、トップ2は前年(2020年)と同じだった。3位は前年17位だった「RISE」の45社(前年26社)が急上昇し、上位には前向きで未来志向、親和性、独自性を重んじる商号が並んだ。

 法人格別の社数は、株式会社が9万6025社(前年比10.8%増)で、全体の66.4%を占めた。合同会社は、3万6934社(同10.9%増)で、初めて3万6000社を超えた。新設法人の4社に1社を占める合同会社は、設立コストが安く、株主総会も不要など経営の自由度も高い。こうしたメリットから設立数は右肩上がりが続く。また、特定非営利活動(NPO)法人が1504社(同12.0%増)と大幅に増加。前年(2020年)の▲15.0%から一転した。

 2021年の倒産は6030社(前年比▲22.4%)、休廃業・解散は4万4377社(同▲10.7%)で大幅に減少した。コロナ禍で矢継ぎ早に実施された政府の資金繰り支援策について、「廃業を思いとどまらせる効果があった」と回答した小規模事業者は65.7%にのぼる(2022年版小規模企業白書)。創業支援への取組みとコロナ禍の緊急避難的な支援が「代謝なき新設」を招いた側面もあり、今後の支援策のあり方も問われている。

 同調査結果は↓https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220524_02.html