2022年度、「増収増益」を見込む企業は24.1%に減少

 帝国データバンクが発表した「2022年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1765社)によると、2022年度(2022年4月決算~2023年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益)については、「増収増益」と回答した企業は 24.1%となり、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出されていた前回調査(2021年3月)の2021年度見通しから▲3.3ポイント減少した。

 一方、「減収減益」は同▲2.1ポイント減の23.9%と2年連続で減少となった。増収を見込む企業は増加する一方、コスト負担の上昇もあり利益面での厳しさが見込まれる。業績見通しを業種別でみると、「増収増益」ではネット通信環境の整備などを含む「電気通信」が 45.5%でトップ。次いで、新型コロナの感染対策の拡充やGoToトラベル再開への期待が高まる「旅館・ホテル」が 38.3%で続いた。

 一方、「減収減益」では薬価の引下げや受診抑制傾向の継続、自宅内消費の一巡などで「医薬品・日用雑貨品小売」が 39.3%と最も高く、木材や飼料、燃料などの価格高騰が下押し要因となる「農・林・水産」などが上位となった。また、2022年度の業績見通しを上振れさせる材料(複数回答)では、新型コロナなどの「感染症の収束」が 40.2%で最も高く、昨年より割合は低下したものの、2年連続でトップとなった。

 次いで、「個人消費の回復」(37.7%)は、前回調査より▲5.2ポイント減少。以下、「原油・素材価格の動向」(26.9%)、「公共事業の増加」(19.7%)、「所得の増加」(15.5%)が続いている。一方、2022年度の業績見通しを下振れさせる材料(複数回答)では、「原油・素材価格の動向」(52.0%)が前回調査より31.2ポイント増加し、次いで、新型コロナなど「感染症の拡大」(43.6%)、「個人消費の一段の低迷」(30.5%)が続いた。

 そのほか、ロシア・ウクライナや東アジア情勢などの政治リスクを含む「カントリーリスク」(25.1%)は前年の約4倍に増加し、「物価上昇(インフレ)の進行」(23.8%)もおよそ4社に1社が下振れ材料に挙げた。ロシア・ウクライナ情勢による影響を懸念する企業が多い一方、新型コロナ下におけるテレワークの広がりやDXの推進などデジタル化の需要拡大を上振れ材料とする意見もみられた。

 同調査結果は↓https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220412.pdf