待遇への関心高まりつつある新入社員の会社選択理由

 中小企業庁が公表した「取引条件改善状況調査」結果(有効回答数1万6484社)によると、取引条件改善状況について、世耕プラン重点3課題は、「不合理な原価低減要請の改善」(38%)、「型の廃棄・返却」(11%)、「支払条件の改善」(11%)と、直近1年以内で改善が進みつつあることが確認された。全般的に「自主行動計画」策定業種における改善率が高い傾向にあり、特に「自動車」の改善率が顕著なことが大規模調査の結果でも裏づけされた。

 取引上の課題としては、全般的に製造業は「コストが取引価格に転嫁できない」ことが、サービス業では「業界独自の商慣行」に課題があると考えている傾向にある。受注側事業者では、直近1年以内のコスト変動分の価格転嫁について、労務費52%、原材料価格65%、エネルギー価格55%が「概ね」又は「一部」反映できたと回答。製造業に比してサービス業における労務費・エネルギー価格の転嫁率が高い傾向にある。

 労務費上昇に伴う見直しについては、発注側事業者の大半が、受注側事業者から申し入れがあれば協議に応じ、結果、そのうち98%が「概ね」又は「一部」反映したと回答。他方、受注側事業者は、「発注側事業者に協議を申し入れることができなかった」との回答が62%と多い。また、「下請Gメン」の認知度については、発注側事業者で39%、受注側事業者で18%が「知っている」と回答しており、今後更に周知に努めるとしている。

 一方、全体で50%と約半数の事業者が「人手不足」と回答。特に、「運送・倉庫」(64.0%)、「建設」(60.9%)、「情報・サービス」(57.8%)、「産業機械」(53.6%)、「自動車」(52.5%)での数値が高く、「店舗や工場での現場職」の不足が「営業職」や「事務職」を大きく上回っている。中小企業における人手不足への対応については、「設備投資やIT投資で効率化」と回答した事業者の比率(17%)は、大企業(48%)より大幅に低い。

 残業時間の現状については、中小企業における、従業員1人あたりの残業時間のうち、最も長い1ヵ月の残業時間数では、「45 時間以下」が68%と最も多く、次いで、「45時間超~60時間」が18%、「60時間超~80時間」が10%のほか、「100時間超」は1%となっている。なお、中小企業で36協定を締結しているのは65%にとどまる。締結していない業種としては、「小売」、「広告」、「卸売」、「その他サービス」、などが上位を占める。

 同調査結果の概要は↓
http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180605002/20180605002-1.pdf