2020年度に着工された公共建築物について、木造率の試算を行った結果、公共建築物全体の木造率は、前年より0.1%上昇し、13.9%となったことを林野庁が発表した。同庁では、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、公共建築物の木造化の進捗状況を捉えるため、年度ごとの公共建築物の木造率(床面積ベース)を国土交通省の建築着工統計調査を用いて試算している。
2020年度に着工された公共建築物の木造率は、13.9%(2019年度13.8%)となった。建築主別の木造率をみると、「都道府県」、「市町村」及び「民間と個人」で上昇(都道府県3.5%→4.3%、市町村8.0%→8.7%、民間と個人20.3%→20.6%)した一方、「国」は下降(国2.4%→1.3%)した。また、低層(3階建て以下)の公共建築物については、木造率が29.7%(2019年度28.5%)となった。
低層の公共建築物について、建築主別の木造率をみると、全ての建築主別で上昇(国4.2%→7.1%、都道府県10.0%→10.2%、市町村16.1%→17.2%、民間と個人36.9%→38.4%)した。低層の公共建築物の都道府県別の木造率については、全国平均値(29.7%)未満の都道府県が16都府県あり、その多くが関東及び近畿等の大都市圏だった。なお、木造とは、建築基準法の主要構造部(壁、柱、はり、屋根又は階段)に木材を利用したものをいう。
建築物等における木材利用促進の取組みをみると、2021年6月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が改正され、同年10月に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」として施行された。また、10月1日には新しい国の基本方針を策定。公共建築物について、低層のものに限らず、コストや技術の面で困難な場合を除き、積極的に木造化を促進するとしている。
それとともに、公共建築物だけでなく、民間建築物を含む建築物一般での木材利用を促進することとしている。国は、木材利用促進本部を設置し、政府一体となり、国の公共建築物における木材利用を推進するとともに、積極的な情報発信等を通じて、地方公共団体、関係団体及び民間事業者等と連携し、木造率が低い都市部等でも木材利用が進むよう、建築物におけるさらなる木材利用の促進に取り組んでいく方針だ。
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