2016年2月に日本銀行がマイナス金利を導入して2年が経過したが、東京商工リサーチがこのほど発表した「銀行114行の預貸率調査」結果によると、銀行114行の2018年3月期の単独決算ベースの預貸率は65.53%(前年同期66.47%)で、前年同期を0.94ポイント下回り、調査を開始した2011年以降で最低を記録した。114行の2018年3月期の総預金残高は前年同期比2.7%増だったが、総貸出金残高は同1.2%増にとどまった。
また、2018年3月期の預金と貸出金の差額の「預貸ギャップ」(預金+譲渡性預金-貸出金)は、278兆4182億2900万円に膨らみ、貸出金に対する預金の大幅超過が続いている。こうした「預貸ギャップ」の拡大は、マイナス金利導入後も伸び悩む、大手銀行を中心とした貸出状況を反映した。こうしたなか、不動産業・アパートローン向けや医療・福祉、企業の合併・買収(M&A)関連などの貸出しは堅調だった。
114行のうち、前年同期より預貸率が上昇したのは77行(構成比67.5%)で、前年同期より2行増えた。伸び率トップは、「熊本銀行」の11.27ポイント上昇(79.65→90.92%)。次いで、「清水銀行」6.32ポイント上昇(74.90→81.22%)、「三菱UFJ信託銀行」5.80ポイント上昇(67.87→73.67%)と続く。一方、前年同期より預貸率が低下したのは36行(構成比31.5%、前年同期39行)、同率が1行だった。
業態別の預貸率は、「地銀」64行が73.93%(前年同期72.92%、前年同期比1.01ポイント上昇)、「第二地銀」41行が76.23%(同75.06%、同1.17ポイント上昇)。これに対し、「大手銀行」9行は59.07%(同61.43%、同2.36ポイント低下)と前年同期を下回った。「地銀」64行のうち、預貸率が前年同期より上昇したのは50行(構成比78.1%)、低下が14行(同21.8%)で、預貸率の上昇行が約8割にのぼった。
「第二地銀」41行では、上昇が26行(同63.4%)、低下が14行(同34.1%)、同率が1行で、第二地銀も預貸率の上昇行が6割を占めた。これに対し、「大手銀行」9行は低下が8行、上昇が1行で預貸率の低下行がほとんどだった。大手銀行の2018年3月期決算では、預金総額が前年同期より2.8%増だったのに対して、総貸出金は1.0%減と前年同期を割り込み、貸出しが低迷している。
同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180608_07.html