帝国データバンクによると、2022年2月の倒産件数は428件、9ヵ月連続で前年同月を下回った。2021年度通期の倒産件数も半世紀ぶりの少なさにとどまる見込み。しかし、減少率は2021年7月をピークに毎月縮小傾向が続くなど、倒産の減少には底打ちの兆しが出始めた。こうしたなか、同社が発表した「コロナ融資後倒産動向調査」では、コロナ融資を受けた後に倒産した「コロナ融資後倒産」は、2022年2月までの判明分で210件判明した。
コロナ融資後倒産は、当初1ヵ月で平均2件前後のペースで発生するなど、発生は少数で推移。しかし、コロナ禍から1年目が経過した2021年2月以降は10件を上回るペースで推移し、最初に判明した2020年7月から1年1ヵ月後の2021年8月に100件を突破。2021年10月には初めて月間20件を突破し、100件から200件までの到達期間は6ヵ月と、コロナ融資後倒産の発生ペースは加速している。
コロナ禍による経済の急激な縮小や経営環境の変化により、多くの中小企業で業績が悪化した一方、持続化給付金をはじめとする政府の支援策に加え、全国200万件・40兆円にのぼる無利子・無担保融資(コロナ融資)で資金繰りを下支えしてきた。そのため、「緊急事態宣言で人流を抑制することができれば」、「ワクチン接種が進めば」という期待感から事業を継続してきた企業も多かった。
しかし、度重なる緊急事態宣言などの人流抑制、景況感の低迷などで業績不振が長期化し、コロナ融資を運転資金などで既に使い切った企業は多い。こうしたなか、据置き期間が終了し返済が始まるものの返済原資に乏しく、金融機関から追加の融資を受けることもできず、最終的に事業継続が困難になる中小企業が続出しかねない状況にあり、資金繰りに行き詰り事業継続を諦める中小企業の破たんが目立ち始めている。
業種別にみると、全210件のうち最も多いのは「小売業」の44件だった。なかでも、居酒屋などの飲食店の占める割合が最も多く、小売業全体の約4割を占めるほか、衣服小売などアパレルの件数も多かった。「製造業」・「卸売業」(ともに42件)では、ともに食品関係での件数が多かった。観光地向け・飲食店向けが回復せず、最終的に事業をあきらめたケースが目立つ。小売・製造・卸売の3業種で、全体の半数超を占めた。
同調査結果は↓