ニセ税理士を調査の対象に加えなかったこと等で質疑

 今通常国会で審議されている所得税法等改正法案には、税理士法の見直しが盛り込まれており、議員からの質疑も行われている。2月9日の衆議院財務金融委員会では、角田秀穂議員(公明党)が質問した。与党税制改正大綱には、いわゆるニセ税理士を税理士法違反調査の対象に加えることが掲げられていたが、改正法案では見送られた。ニセ税理士の調査については、これまでの行政指導による証拠収集しかできなかったのが実情だ。

 角田議員は、税理士業務の適正を確保する観点から、今後、どのように検討を進めていくのか、と質問。これに対して住澤主税局長は「税理士法に基づく税理士業務の制限又は名称の使用制限に違反したと思料される者、いわゆるニセ税理士に対する調査の規定の整備については……(中略)……次回の税制改正に向け、引き続き税制改正大綱に沿い、主に法制的な観点から精査すべき点があるので規定の精査を進めていきたい」と答弁。

 2月15日の同委員会では、藤巻健太議員(日本維新の会)が、税理士試験の受験資格要件の緩和に関して、改正法案では、会計学に属する科目の受験資格を不要とすることと、大学等での一定科目履修者の対象科目拡充が取り上げられているが、この程度の緩和では不十分。他の国家資格をみても、例えば公認会計士、行政書士、弁理士、司法書士では受験の資格要件はない。なぜ、特定の要件を満たしていなければ受験できないのか、と質問。

 これに対して岡本財務副大臣は「税理士試験の受験資格要件については、一定レベルの教育や実務経験を通じて得られる税理士業務に関連する基礎的学識等を確認する観点から一定の必要性がある。受験資格要件の廃止等の税理士試験制度の大幅な見直しについては、受験者への影響も大きいことから、試験運営上必要な受験者数の絞り込みをどのように行っていくのかなど制度面・運用面さまざまな観点から慎重に検討を進める必要がある」。

 さらに、「……(中略)……さらなる見直しについては、今改正の効果を注視した上で検討したい」と答弁した。所得税法等改正法案は2月21日に委員会で可決、翌22日に地方税法等改正法案とともに衆議院本会議で可決され、参議院に送付されている。