2021年保険代理店の廃業が最多、コロナ禍等が影響

 「生命保険」や「損害保険」などを販売する保険代理店が減少している。街には保険ショップが増え、ネットでの保険契約も浸透している。金融機関が窓口で保険販売に乗り出し、異業種からの進出も相次ぐ市場で何が起きているのか。東京商工リサーチの調査によると、少子高齢化でも活発な業界にみえる保険代理店だが、2021年の休廃業・解散が507件と、調査を開始した2000年以降、最多を記録した。

 「保険代理店」の休廃業・解散は、10年前の2012年は192件だった。だが、改正保険業法が施行された2016年に前年比25.3%増の307件と急増。その後も増え続け、2021年は507件(前年比1.8%増)と、初めて500件を上回った。わずか10年で2.6倍に増え、調査を開始した2000年以降での最多件数を更新した。一方、「保険代理店」の倒産は13件(前年比▲23.5%減)と大幅に減少した。

 コロナ関連の資金繰り支援で抑制された格好だ。先行きの見通しが立たない保険代理店が、早めの店仕舞いに動いたとみられる。コロナ前までは、保険ショップは積極的に出店を続けていた。街のあちこちで「保険ショップ」を見かけたが、コロナ禍で様相が一変。大手も出店ペースが鈍り、昔からの生命保険代理店の店舗数は減り続けている。新型コロナ感染拡大の影響で、対面販売が避けられ、来店客数が減少していることが背景にある。

 また、コロナ前から異業種の進出だけでなく、貯蓄型などの保険から先進医療保険や認知症など細かいサポートの保険に人気が移るなど、消費者の変化も背景にある。生命保険協会の「2021年版生命保険の動向」によると、法人代理店は2016年度の3万5306店から2020年度は3万3114店と▲6.2%減少。個人代理店も16年度の5万5805店から20年度は4万8692店と、店舗数は▲12.7%減少している。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220212_01.html