日本商工会議所が発表した「2025年度税制改正に関する意見」によると、まず、中小・中堅企業の「稼ぐ力」の強化に向けた税制として、中小企業経営強化税制の延長・拡充(控除率の引上げ・対象設備の拡充等)、中小企業投資促進税制の延長、償却資産に係る固定資産税の廃止、特例措置の延長・拡充、イノベーションボックス税制の拡充(対象の知的財産や所得範囲の拡充、中小企業は簡便な計算式で可能とする措置の導入)を掲げた。
さらに、中小法人の税率の軽減措置(19%→15%)の延長・恒久化、エンジェル税制の拡充などを求めた。中小企業経営強化税制は、売上増や企業規模の拡大など、さらなる成長を目指す中小企業の設備投資を強力に後押しするため、成長志向の中小企業が一定の要件のもとで実施する設備投資について、現状の控除率 10%(資本金 3000 万円超の中小企業は7%)の引上げおよび対象設備の拡充を行う。
次に、円滑な経営承継・事業継続に資する税制として、事業承継税制一般措置の拡充(2026年4月以降、対象株式の拡大(最大3分の2まで→全株式)や、納税猶予割合の拡大(相続の場合80%→100%)、雇用確保要件の弾力化等)などの恒久化を要望。事業承継税制における事務負担の軽減や猶予取消しリスクの解消に向けた見直し(5年経過後の報告不要化、書類の一本化および簡素化、書類の提出先のワンストップ化等)などを求めた。
また、わが国のビジネス環境整備等に資する税制として、「スマート青色申告制度」(仮称)の創設を求めた。これは、デジタルツールでの記帳・帳簿作成とe-Taxでの申告を要件とし、青色申告特別控除よりも控除額の高い「スマート青色申告特別控除」(仮称)の創設や、純損失の繰越期間の延長等を講じるもの。「スマート青色申告特別控除」(仮称)の創設は、現行の青色申告特別控除(最大65 万円)を深堀りする。
さらに、中小企業の成長や経営基盤強化を阻害する税制措置への反対(印紙税の速やかな廃止、留保金課税の中小企業への適用拡大には断固反対、事業所税の廃止等)の意を表明。そのほか、地域における民間投資拡大に資する税制として、地域未来投資促進税制の延長・拡充や、「産業用地整備促進税制」(仮称)の創設(産業用地を整備する場合において、地権者が土地を譲渡する際に発生する所得税を軽減)などを要望している。
日商の「2025年度税制改正に関する意見」は↓