2023年度国内化粧品市場は4.6%増の2兆4780億円

 矢野経済研究所が発表した「化粧品市場に関する調査」結果によると、2022年より日本政府が個人旅行客の受入れや査証免除措置の再開等を実施したことを受け、インバウンド(訪日外国人客)需要も回復傾向にある。また、2023年に新型コロナウイルス感染症法上の位置づけが5類へ移行したことなどを受けて外出機会が増加し身だしなみへの意識も高まり、化粧品需要も増加した。

 2023年度の国内の化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比4.6%増の2兆4780億円となった。​2023年度の化粧品市場を製品カテゴリー別にみると、スキンケア市場が構成比46.6%(1兆1550億円)と最も高く、次いでヘアケア市場は同19.9%(4930億円)、メイクアップ市場が同18.8%(4650億円)、男性用化粧品市場は同5.4%(1330億円)、フレグランス化粧品市場が同1.3%(326億円)と続いた。

 日本国内において、アジアコスメの人気が上昇している。これらのアジアコスメの規模感を示す1つの指標として、財務省が発表する貿易統計がある。貿易統計によると、韓国からの化粧品輸入金額は2023年に959億6200万円(前年比23.8%増)となり、国別でフランスなどを抑えて1位のほか、中国からの化粧品輸入金額が498億5300万円(同16.9%増)、タイからの化粧品輸入金額は332億8700万円(同7.3%増)などとなっている。

 アジアコスメ全体での輸入金額は拡大の一途をたどっており、日本におけるアジアコスメのプレゼンスが高まっている。なお、2024年度以降も引き続き需要は回復し、国内化粧品市場は回復基調が鮮明になりつつある。原材料等のコスト高騰や製品の高付加価値化による製品単価上昇のほか、インバウンド需要も順調に回復しており、2028年度の化粧品市場規模は、2023年度比10.6%増の2兆7400億円まで成長を予測している。