過少申告加算税が軽減される「優良な電子帳簿」とは

 国税庁が「優良な電子帳簿」を勧めている。電子帳簿等保存とは、税法上保存が必要な「帳簿」、「書類」をパソコン等で作成している場合、(1)システムの説明書やディスプレイ等を備え付けている、(2)税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることができること、を満たせば、プリントアウトすることなく、電子データのまま保存することができるというもの。いちいち「帳簿」や「書類」を印刷してファイリングする必要がない。

 それでは、「優良な電子帳簿」とは何かというと、税法上保存が必要な「帳簿」について、上記の(1)(2)の要件に加え、(3)訂正・削除・追加の履歴が残ること、(4)帳簿の相互関連性があること、(5)取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があること、を満たすものは優良な電子帳簿として、その帳簿に関連する過少申告があっても、過少申告加算税の割合が原則10%から5%に軽減されるというものだ。

 この措置の適用を受けるためには、あらかじめ(法定申告期限までに)届出書を提出していることや、その課税期間の最初から優良な電子帳簿として備付け・保存を行っていることが必要となる。ただし、すべての帳簿について、要件を満たす必要なく、一定の帳簿に限定されている。優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の5%軽減措置の対象となる帳簿の範囲は、「仕訳帳」、「総勘定元帳」、「その他必要な帳簿」に限定されている。

 「その他必要な帳簿」の具体例をみると、所得税・法人税の場合、売上帳、仕入帳、経費帳、売掛帳、買掛帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳、貸付帳、借入帳、未決済項目に係る帳簿、固定資産台帳、繰延資産台帳、賃金台帳(所得税のみ)、有価証券受払い簿(法人税のみ)などが挙げられている。消費税については、消費税法に規定する一定の帳簿が対象となる。

 「その他必要な帳簿」として多くの帳簿の具体例が示されているが、これらの全てを作成しなければならないというわけではなく、自身が作成している帳簿のうち、上記の具体例に該当するものについて、要件を満たしていれば構わないことになる。例えば、手形を扱っていない会社であれば、「受取手形記入帳」や「支払手形記入帳」は作らなくていい、ということになる。

 なお、国税庁は、これから会計ソフトを導入しようと考えている場合に、どの会計ソフトが優良な電子帳簿の要件を満たしているのかについて、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA(ジーマ))の認証を受けた会計ソフトは、優良な電子帳簿の機能要件を満たしており、そのパッケージや説明書に、「JIIMA認証マーク」がついており、購入の際に参考にすると良いとアドバイスしている。