65~69歳の8割以上が「70歳以降も働きたい」と回答

 リクルートは、シニア(ここでは60歳以上)の求職者の現状や雇用課題について、データと事例からまとめて発表した。それによると、人口構造の変化、少子高齢化による労働力人口の減少から人材不足の状況は深刻になってくることが予想され、シニアが少しでも長く、そして無理なく働き続けられるような働き方が注目されている。65歳以上人口の年齢別割合の推移をみると、20年間でより高齢層の割合が増えている。

 改正高年齢者雇用安定法により70歳までの就業機会を確保するため、定年引上げなどの努力義務が新設されたが、「シニア層の就業実態・意識調査2023」において現在働いている、または現在働いていないが働く意欲・可能性があるシニアに何歳くらいまで働きたいと思うかを尋ねると、すでに「70歳以降も働きたい」と回答している人が75%以上いることが分かった。

 また、5歳刻みでみると、「70~74歳」が34.6%で最多。調査時点で70~74歳のシニアは男女ともに「75~79歳まで働きたい」が6割以上、男性では「80歳以降も働きたい」が2割以上いることから、「まだまだ働ける、働きたい」と感じているシニアが多い。しかし、同調査では5年以内に仕事探しをして仕事が見つかった人の4割以上が「年齢の制限が低い/幅がせまい」、4割近くが「給料が安い」と感じていることも分かった。

 一方で、企業側にシニア層採用への積極性を聞いたところ、積極的な企業は約3割にとどまり、また、積極的ではない企業のその理由(複数回答)は、「特に理由はない」がいずれの雇用形態でも3割を超え、採用イメージがないことも要因になっている。2025年4月から義務化される「65歳までの雇用確保」の経過措置期間は2025年3月31日に終了し、2025年4月1日以降、企業は希望者全員に65歳まで雇用機会を確保しなければならない。

 リクルートは、「深刻な人手不足が続く中、シニアが活躍できる場が徐々に広がりつつある。しかしながら、その活躍の場は依然として十分とは言えない状況にある。一方で、シニアのスキルを正しく理解し、成果を可視化、適切な評価やフィードバックを行う企業では、シニアが高いモチベーションを持って働き、活躍することで、企業の成長に寄与している事例が出始めている」と指摘。

 さらに、「企業は、すぐにでもシニアの採用、活躍支援を進めることが重要。また、シニアの状況が多様であることを理解し、個々の状況に寄り添った対応、長く活躍できる労働条件や環境を整えることが求められる。例えば、シニアは短時間や限られた日数での勤務の希望者が多いことも分かっている。業務を細分化し、小口の仕事を提供することは、シニアが長期にわたり活躍するための一歩となるのではないだろうか」とコメントしている。

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