企業の「推定調達金利」1.03%、金利は上昇傾向へ

 東京商工リサーチが発表した「企業の推定調達金利調査」結果によると、2023年度に企業が金融機関等から資金調達した際の「推定調達金利」は、平均1.03%だった。近年、金利は低下基調にあり、データの集計対象とした2015年度から2021年度までの期間には、2017年度から2018年度を除いて金利の低下が続いた。コロナ禍ではゼロゼロ融資など、企業支援に低金利や実質無利子での貸付が行われたことで、金利は1%を下回った。

 しかし、各種支援の縮小・終了とともに、2022年度以降は上昇に転じ、2023年度は4年ぶりに金利が1%を上回った。2024年3月の金融政策決定会合で、日銀はイールドカーブコントロールの撤廃とマイナス金利の解除を決定。その後、7月の会合では、追加利上げにより政策金利が0.25%程度まで引き上げられた。日銀総裁は引き続き利上げの姿勢を維持するとしており、2024年度の調達金利はさらに上昇することが見込まれる。

 コロナ禍で企業の資金繰り緩和に大きな効果をみせたゼロゼロ融資の金利は平均1.2%程度とされるが、返済開始までに猶予があった。また、利率を引き下げた特別貸付や「リアルタイム方式」の利子補給などで、企業が資金調達する際の金利は低下し、2020年度から3年連続で1%を下回っていた。だが、コロナ関連融資の縮小・終了などに伴い、2023年度は4年ぶりに1.0%を超えた。

 産業別の金利を分析したところ、2023年度の金利が最も高かったのは、「卸売業」の1.49%。「卸売業」では、在庫などの運転資金を中心とした資金調達が多く、もともと他業種に比べて金利は低い傾向にあった。しかし、輸入企業が多いなか、米国の利上げなどを背景に2022年度以降は2年連続で大幅に上昇し、業種別で最大となった。「建設業」は2015年度から9年連続、「サービス業他」は2年ぶりに金利が低下した。

 金利が最大の「卸売業」(1.49%)と最小の「農・林・漁・鉱業」(0.76%)の差は0.73ポイント。低金利のなかで産業間の金利差は縮小傾向にあったが、コロナ禍を経て再び産業ごとの事業環境の違いが金利にも反映しつつある。業種別では、金利が最も高かったのは「各種商品卸売業」の1.93%。以下、「インターネット附随サービス業」1.84%、「水運業」1.70%と、ドル建て比率の高い企業の影響が大きい業種が続いた。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198912_1527.html