国税庁が8月30日に公表した2025年度機構・定員要求によると、同年度の定員要求については、消費税不正還付への対応やインボイス制度の円滑な実施への対応等の観点から、674人の増員要求を行った。一方で、2025年度の国税庁の定員合理化目標数が552人とされており、差し引き122人の純増要求数となった。定員が純増となるのは9年連続。この結果、要求が通れば2025年度の定員は5万6502人となる。
主な機構要求をみると、インボイス制度の円滑な実施及び制度の定着並びに消費税不正還付事案への厳正な対応のため、福岡局に次長1名、税務署に消費税専門官をそれぞれ増設。また、経済社会のデジタル化・グローバル化に伴う調査・徴収事案の複雑・困難化への対応のため、国税庁に課長補佐、大阪局に国際管理官1名、関信局に統括国税実査官、国税局に国際税務専門官、大阪局に特別国税徴収官をそれぞれ増設する。
酒類業振興のための体制整備として、国税庁に鑑定参事官(仮称)を新設。国税局に酒類業申告専門官を増設。また、定年引上げに伴う最適な職場環境の整備のため、国税局に税理士事務専門官(仮称)を新設する。そのほか、業務センター室拡充への対応のため、国税局に統括国税管理官(札幌、仙台、関信、東京、名古屋、広島、熊本)を、同様に国税局に主任国税管理官を増設する。
また、国税庁が同日に公表した2025年度予算概算要求額によると、緊縮財政の中で税務行政といえども必要経費を十分に確保することは難しいなか、2025年度は、2024年度当初予算額に比べ4.5%増の約6444億円を求めた。国全体の歳出削減が厳しく求められるなかで、税務行政の一層の適正な執行を確保し、適正・公平な課税の実現や歳入確保の要請に応えるためのギリギリの要求ということになる。
機構・定員要求は
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/teiin_kiko/index.htm
国税庁関係予算概算要求額は
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/yosan_gaisan/index.htm