法人が、2026年3月31日までの間に、その所有する棚卸資産以外の特定の資産を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において特定の資産(買換資産)を取得し、かつ、取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供した場合または供する見込みの場合に、買換資産について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するなどの一定の方法で経理したときは、その減額した金額を損金に算入する圧縮記帳の適用を受けることができる。
圧縮記帳の対象となるのは、(1)航空機騒音障害区域の内から外への買換え、(2)既成市街地等やこれに類する一定の区域(人口集中地区)内における土地の計画的かつ効率的な利用に資する施策の実施に伴う土地等の買換え、(3)長期所有資産の買換え(所有期間が10年を超える国内にある土地等、建物(その附則設備を含む)または構築物から国内にある一定の土地等、建物、構築物への買換え)、(4)日本船舶から日本船舶への買換えだ。
この圧縮記帳の適用を受けるためには、(1)損金経理により買換資産の帳簿価額を減額する方法、(2)確定した決算において積立金として積み立てる方法、(3)決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法、のいずれかの経理方法を採用する必要がある。また、圧縮限度額は、「圧縮基礎取得価額×差益割合×80/100」の算式によって計算する。
圧縮基礎取得価額とは、買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡対価の額のうちいずれか少ない金額をいう。差益割合は、{譲渡対価の額-(譲渡資産の帳簿価格+譲渡経費の額)}/譲渡対価の額。航空機騒音障害区域の買換え(上記「圧縮記帳の対象となる買換え」(1))に係る措置について、譲渡資産が防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に規定する第二種区域内にある場合には、100分の70となる。
圧縮記帳の適用を受けるためには、確定申告書等に損金の額に算入される金額を記載するとともに特定の資産の買換えにより取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書など一定の書類を添付することが必要となる。なお、2024年4月1日以後に譲渡資産を譲渡して買換資産を取得する場合に圧縮記帳の適用を受けるためには、一定の期限までに適用を受ける旨ほか必要事項を記載した届出書を所轄税務署長に提出する必要がある。