「老舗倒産」が急増、年上半期として過去最多の74件

 帝国データバンクが発表した「100年経営の老舗企業の倒産動向調査」結果によると、2024 年上半期(1~6月)に倒産した老舗企業は74件に達し、前年同期の38件から倍増した。統計として遡れる2000年以降において過去最多を更新するなど、記録的な件数で推移している。業種別の内訳をみると、「製造業」が22件で最多。清酒製造(2件)や生菓子製造(2件)といった日本の伝統的な産業のほか、水産加工、味噌、野菜漬物などもあった。

 「小売業」が2番目に21件で続いた。スーパーマーケット、呉服・服地小売、百貨店など、製造業と同様に昔ながらの業種が確認された。製造業と小売業の両業種で全体の約6割を占めた。また、サービス業のうち旅館業は2件あったが、いずれも新会社に譲渡されており、事業としては継続している。倒産件数が大幅に増加しているなか、昨年は「安泰」と思われていた老舗企業の倒産が相次いだ。

 1872年創業で業歴150年の白井松器械(大阪市中央区)は、医療・理化学器械の製造販売業者として知名度が高いが、2023年9月に突如民事再生法の適用を申請。20年以上にわたる粉飾決算が発覚したことが要因。また1900年に創業し衣料用繊維織物の製造販売を手掛けるプロルート丸光(大阪市中央区)は、雇用調整助成金の不正受給が発覚するなど複数の疑義が生じ、最終的には会社更生法の適用を申請し、再建を図ることとなった。

 長い業歴は信用を測るうえで大きな裏付けとなる一方で、このようなコンプライアンス違反も潜んでいることを見逃してはならない。その他にも、2024年上半期の老舗企業倒産(74 件)のなかには仕入価格の上昇により収益が悪化した「物価高倒産」(14件)、後継者不在のため事業継続の見込みが立たなくなった「後継者難倒産」(11件)など、近年事業継続のリスク要因による倒産が複数確認されており、老舗企業においても例外ではない。

 主な老舗倒産事例をみると、株式会社三谷屋(広島県)は、1858 年(安政5年)創業の地元密着型のスーパーマーケットだが、近年は、エリア内の人口減少やドラッグストアなどとの競合激化により売上高はダウン、4期連続赤字に陥っていた。不採算店舗や社有不動産の売却によってしのいでいたが、昨今の物価高騰による仕入れコストや、光熱費の上昇によって資金繰りがひっ迫。2月6日に事業停止、その後6月5日に破産開始決定となった。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240714.pdf