上半期の「負債1000万円未満」倒産261件の高水準

 東京商工リサーチがこのほど発表した2024年上半期(1~6月)の「負債1000万円未満」倒産状況によると、本年上半期の全国企業倒産(負債1000万円以上)は4931件となり、年間1万件を超えるペースで増勢をたどっている。また、負債1000万円未満の小規模倒産も261件(前年同期比6.9%増)で、2010年以降では3番目の高水準となったことが明らかになった。

 コロナ禍以降の円安に伴う物価高や人手不足、ゼロゼロ融資返済など、事業規模を問わず、企業収益の悪化材料が倒産を押し上げている。「負債1000万円未満」倒産を産業別にみると、最多が「サービス業他」の119件(前年同期比8.1%増)で、次いで「小売業」の39件(同30.0%増)、「建設業」の35件(同▲14.6%減)と続く。原因別は、「販売不振」が165件(同▲10.3%減)で、6割以上(構成比63.2%)を占めた。

 資本金別は、「1千万円未満(個人企業他を含む)」が242件(前年同期比6.1%増)と、9割(構成比92.7%)に達した。形態別は、「破産」が255件(前年同期比6.2%増、構成比97.7%)、「特別清算」が5件(前年同期比400.0%増)で、消滅型の倒産(構成比99.6%)がほとんどだった。企業倒産はコロナ禍の資金繰り支援に支えられ抑制されてきた。だが、支援策の終了や縮小に加え、物価高や人手不足などが企業収益を圧迫している。

 負債1000万円未満の倒産は大半が小・零細企業で、コロナ禍の支援の副作用として過剰債務に陥っている。経済活動が平時に戻るなか、業績回復の遅れや新たな資金調達が難しい企業は多い。一方で、取引先や顧客との関係で価格転嫁は容易に進まず、資金繰り悪化に拍車をかけている。事業再生が難しい企業は、倒産か廃業という究極の判断を迫られるケースも目立ち始めており、政府や金融機関などによる再生や廃業への支援が急がれる。