2025年の賃上げ予定、「実施予定」が67.6%に上昇

 日本経済を安定的な成長軌道に乗せるためには、個人消費の活性化が必要であり、可処分所得を持続的に増加させるためにも、物価上昇率を上回る賃上げの継続が期待されている。経済同友会が会員等を対象に実施した「景気定点観測アンケート調査」結果(有効回答数188人)によると、今後の賃上げ方針等について、2025年の賃上げ予定は、「実施予定」が67.6%(前年同期46.0%)、「実施予定はない」が5.0%、「その他」が27.4%となった。

 2025年の賃上げの方法・内容(複数回答)は、「定期昇給」(64.5%)、「ベースアップ」(60.3%)、「初任給引上げ」(33.9%)、「一時金の支給・増額」(26.4%)の順。賃上げ率(年収ベース、見込)は、「4~5%未満」(30.3%)、「3~4%未満」(23.9%)、「2~3%未満」(21.1%)の順で、各選択肢の中央値を取って加重平均すると(1%未満は0.5%、8%以上は8.5%と仮置き)、製造業3.68%、非製造業3.94%で、全体では3.85%となった。

 今月公表された毎月勤労統計調査(2024年4月速報)では、所定内給与(前年同月比)が2.3%増と29年6ヵ月ぶりの伸びを示したが、実質賃金(同)のマイナスは続いている。個人消費の先行きを占う鍵の一つとなる、賃金と物価の好循環の実現に向け、所属企業における足元1年程度のコスト上昇分の転嫁状況は、製造業では「5割以上8割未満」(41.2%)、「2割以上5割未満」(17.6%)、「8割以上10割未満」(13.7%)の順になった。

 また、非製造業では「2割未満」(28.1%)、「5割以上8割未満」(20.2%)、「2割以上5割未満」(18.4%)、「全く転嫁できていない」(13.2%)、「8割以上10割未満」(10.5%)の順となり、非製造業では転嫁割合が5割を下回る回答が約6割を占めた。各選択肢の中央値を取って加重平均すると(2割未満は10%と仮置き)、製造業55%、非製造業36%で、全体では42%となった。

 なお、労務費の転嫁割合は、製造業では「5割以上8割未満」(30.6%)、「全く転嫁できていない」(16.3%)、「2割未満」(14.3%)、「8割以上10割未満」と「2割以上5割未満」(12.2%)の順に、非製造業では「全く転嫁できていない」(21.9%)、「2割以上5割未満」(18.4%)、「5割以上8割未満」と「2割未満」(17.5%)となり、製造業においても転嫁割合が5割を下回る回答が4割を超えた。

 同調査結果は

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/uploads/docs/20240711a.pdf