同友会、企業版ふるさと納税の特例措置の延長を要望

 経済同友会等は、企業が自治体に寄附し、社会的事業に活用する「企業版ふるさと納税(「地方創生応援税制」)」の活用促進に向けた提言を発表した。現在、個人版の「ふるさと納税」と比較すると金額規模が限られている同制度の活用を進め、金額規模を拡大することが重要とした。会員所属企業にアンケート調査を行い、企業版ふるさと納税に関する認知や活用状況、課題等について聴取したことを踏まえて制度の改善策について提言している。

 企業版ふるさと納税の規模は、2016年度(導入初年度)と比較すると、2022年度では件数にして16倍、金額にして45倍に増加しているが、総額は341億円程度と、個人版の「ふるさと納税」(2022年度に9645億円)に比べ、30分の1程度にすぎない。そこで改善策として、まず税額控除の特例措置の適用期間を、少なくとも現状と同様5年間もしくはそれ以上延長すること、また、恒久的な措置とするよう検討することを要望した。

 また、寄附側(企業側)の利用を促進するための施策を要望。まず、企業が株主に対して寄附の意義を説明しやすくする施策として、本社所在地の自治体に対する使用用途指定型納税を導入し、本社所在地への企業版ふるさと納税を可能にすべきことや、発災時、被災自治体に代わり、被災していない自治体が寄附金を受け付け、寄附金を被災自治体に送る「代理寄付(災害支援)」の仕組みの導入などを提案した。

 次に、寄附金の損益計算書(PL)への計上方法の見直しとして、いったん寄附全額が損益計算書に計上されるので、株主への説明などが難しいことから、寄附金の全額を損益計算書に計上するのではなく、税額控除された後の実質寄附額を損益計算書に計上することを許容することや、国が株主向けに税控除の仕組みについてわかりやすく説明する資料を作成することで、株主への説明をしやすくすることを掲げた。

 さらに、税額控除の範囲の拡充・長期的な視点を持った柔軟な枠組みの導入として、税額控除が最大(税額控除と損金算入による軽減を合わせて約9割)になる寄附金額の上限が設けられている点はボトルネックと考えられ、税額控除が最大となる寄附額の上限を、現行の課税所得の約1%から5%程度にまで引き上げることや、寄附額の多寡に応じて、優遇措置の内容を段階的に拡充させる仕組みを導入すること、などを求めている。

 同提言の本文は

https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2024/240716.html