日本税理士会連合会は、2025年度税制改正に関し39項目に及ぶ改正建議を盛り込んだ建議書を発表した。特に、重点建議項目として、(1)少子化対策で税制面の検討、(2)年末調整の実施時期及び所得税の確定申告時期の拡大、(3)役員給与税制の見直し、中小企業者等の法人税率の特例の適用期限の延長、(4)消費税の軽減税率制度を廃止し単一税率制度に戻し、インボイス制度導入に伴う各種特例措置の適用期限を延長、などの5項目を掲げた。
(1)では、少子化問題については、あらゆる施策を総動員して対応しなければならず、税制措置による効果は限定的だとした上で、ア.年少扶養親族や高校生世代の扶養親族に係る所得控除と給付等との併用、イ.配偶者の就業調整を減少させるための更なる検討、ウ.不妊治療や出産費用等に係る医療費控除の拡充、エ.教育等に関する支出についての税制支援など、少子化対策の一助となる税制について検討を行うべきだとした。
また(2)では、所得税の計算において所得控除が複雑化することは、源泉徴収義務者の負担が増し、納税事務において事後の修正手続き、争訟等のリスクも増大させる高コストの制度となる一方で、課税の公平性を求めると制度がある程度複雑化することは避けられないのが現実だと指摘。この公平性と手続負担の軽減を両立させるためには、申告期限等を延長し、正確な計算に要する時間を確保することも必要だとした。
例えば、年末調整は、その年の最後の給与支払時に行うこととされているが、配偶者や扶養親族の所得が確定していないことでの見込み計算など、一旦年末調整を行ったものの、翌年に年末調整をやり直すケースが生じることがある。このような事務手続きについて、計算を一回の手続きで完結させるため、年末調整は翌年1月末までに行うものとして、給与支払者の事務コストを軽減すべきことを求めた。
さらに、年末調整の実施時期等を変更する場合は、源泉徴収票や法定調書を必要とする所得税の確定申告に影響が及ぶことなどから、確定申告期間についても見直しが必要とした。また還付申告だけではなく納付を伴う確定申告も1月1日から申告可能な体制とし弾力性を持たせるべきだとの考えを示した。したがって、所得税の確定申告期間は、1月1日から3月 31 日までとすべきことを要望している。
日税連の「2025年度税制改正に関する建議書」は
https://www.nichizeiren.or.jp/wp-content/uploads/whatsnew/doc/kengisyo-R7.pdf