需要が回復する一方、供給面の課題顕在化~観光白書

 観光庁は18日、2024年版「観光白書」を公表した。宿泊業の売上高は、新型コロナウイルス感染症による落込みから緩やかだが増加傾向にあるとし、2022年後半以降、人員不足の企業割合が高い状態が続き雇用者数は回復傾向。賃金はほぼ横ばいで推移し、労働生産性は回復傾向にあるが、どちらも全産業の水準を下回っている。観光需要が回復する一方、観光地や観光産業における人材不足や生産性の低さ等、供給面の課題が顕在化とした。

 2023年の訪日外国人旅行者数は、約2507万人とコロナ前と比べ79%の回復となった(中国を除くと102%の回復)。国籍・地域別内訳をみると、「韓国」が最も多く、次いで「台湾」、「中国」、「香港」、「米国」の順。2023年の訪日外国人旅行消費額は5兆3065億円(2019年比10.2%増)と過去最高となった。国籍・地域別内訳をみると、「台湾」が最も大きく、次いで「中国」、「韓国」、「米国」、「香港」の順だった。

 主要国・地域の国際観光客数と旅行消費額はコロナ前の水準まで概ね回復。訪日旅行は特に2022年後半以降に急速に回復した。韓国のアウトバウンド客数をみると、日本はコロナ前後ともにトップの旅行先。米国でも、日本はアジアでトップの旅行先であり、主要な旅行先であるメキシコやカナダより増加率が高い。2023年末の円ドル為替レートは2019年比約25%の円安水準で、為替の影響も訪日旅行の回復の追い風となったと考えられる。

 2023年の観光・レジャー目的の訪日外国人旅行者一人当たり旅行支出(消費単価)は2019年比で約3割増加。特に宿泊費、娯楽等サービス費、交通費が大きく増加し、体験消費を含むコト消費の成長の兆しがみられる。宿泊費については、長く滞在する傾向にある欧米豪において高く、全体の消費単価を押し上げた。娯楽等サービス費の割合は米国と比べ依然低く、地域の魅力を生かした高付加価値な体験ツアー造成等により更なる成長の余地がある。

 また、外国人延べ宿泊者数の約7割が三大都市圏に集中し、訪日外国人旅行消費額も東京都、大阪府、京都が顕著に高いなどインバウンド需要は地域によって偏在傾向にある。世界の旅行者は、持続可能な観光や地域への貢献等に対する関心が高い。日本食、ショッピング等に加え、日本の伝統文化や日常の暮らしへの関心も高まっている。地方誘客の促進に向け、地域ならではの観光資源を生かした魅力の向上や発信が必要としている。

 「観光白書」の概要は

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001748122.pdf